「文書管理に558億円を掛けるとは、一体どんなシステムなのか」。

 防衛省の文書管理システム「AIデータ管理基盤」に疑問が湧いた。同省は関連費用として、2019年度の概算要求に558億円を計上している。潜水艦一隻の建造費とほぼ同じ額だ。「AI(人工知能)を活用して文書を管理する」というコンセプトのようだ。

防衛省の市ヶ谷庁舎
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 「AI」で「防衛省」と聞けば、真っ先に思い浮かぶのはセキュリティ技術や武器システムへの応用だろう。しかし、今回は文書管理である。防衛省の関係者に話を聞くと、現場の事務作業を効率化するため、業務システムの刷新とAIの導入が急務という。

 およそ60――。防衛省の行政文書を扱う業務システムの数だ。これらのサーバーをプライベートクラウド上に統合して一元化するのがAIデータ管理基盤の構想だ。行政文書の開示請求に関する業務を効率化するのが主な目的。「職員はファイルの名前や内容を対象に検索をかける。必要な文書を瞬時に探し出せるようになる」(防衛省の担当者)。

 いわゆる日報問題が導入の背景にある。2018年4月、当初は存在しないとされた自衛隊のイラク派遣に関する日報が後から見つかり問題となった。「隠ぺい」との指摘もあったが、同担当者は「行政文書が複数のサーバーに分散していたため、検索漏れが起きる一因となっていた」と振り返る。

 防衛省への情報公開請求は年間約5000件に上るという。これらの請求に基づき各システムが管理する文書に検索をかける。電子化していない紙の文書は職員が手作業で探し出す。同省のある若手職員は、「文書の検索が始まると2~3日を費やすこともある。開示は義務だが、その間は通常業務が進まない」と漏らす。

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