「10年後には会員の中からDX(デジタルトランスフォーメーション)担当大臣を輩出する」――。壮大な目標を掲げる一般社団法人が2019年9月2日に立ち上がった。

 その名も「日本CTO協会」。CTO(最高技術責任者)とは自社ビジネスのコアを支える製品や装置、サービス、システムで使う「技術」全般について選定や廃棄計画などを取り仕切る責任者であり、技術者組織の運営に責任を持つ場合もある。日本で類のないCTO集団の運営に挑むのが、日本CTO協会だ。第1回の理事会を9月23日週に控えるため未決事項が大半というが、意気込みや目標などを聞いた。なお公式Webサイトは2019年10月に開設予定という。

「無色」のCTO集団、誕生へ

 代表理事に就任したのは技術戦略コンサルティングを手掛けるベンチャー企業、レクターの松岡剛志社長である。レクターはCTO経験者と現役のCTOの合計4人が2016年6月に立ち上げた「CTOによるCTOのための会社」で、松岡代表理事自身もミクシィのCTOなどを歴任している。

日本CTO協会の代表理事に就任したレクターの松岡剛志社長
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 日本CTO協会には母体がある。「CTOのノウハウを集約して広く社会に還元する」という同社ミッションの下、2012年からFacebook上などで活動を続ける「CTO's」だ。ネット企業のCTOなど386人が参加し、悩みや工夫を共有・議論するイベント「CTO会」を2~3カ月に1回のペースで続けてきた。CTO会には100人程度が集まるという。「体系的な知識が整理されていない孤独な存在」(松岡代表理事)であるCTOの知識欲・連帯感は強く、イベントでは10分間のプレゼンテーションに対し、質疑応答が30分間に及ぶ場合もあるという。

 同会の規模は国内でも指折りだ。米国の某有名クラウド事業者が主催するCTOイベントでも100人程度の集まりなので、「(CTO'sを)もっとドライブしてもいいだろう」と考え、松岡代表理事は一般社団法人化を決めた。

 「企業主催のCTOの集まりではその企業の『色』が出てしまう。クラウド事業者が主催するCTOイベントにはライバル関係にあるクラウドサービスを使う会社のCTOは来にくいものだし、人材系会社が主催するCTOイベントだとヘッドハントされるのではとCTOが警戒する」(同)。レクターのCTO'sやCTO会は同社の冠を極力薄めて主催してきたが、規模が大きくなるにつれて「無色」の運営主体への転換が必要になっていた。

中国CTO協会が「刺激」に

 そうして設立した日本CTO協会の存在価値は何か。松岡代表理事は「日本中のほとんどの会社で技術を当たり前なものにすること」と話す。働く全ての人が理解する状況を作りたいという意味だ。「30~40年後はプログラミング教育を受けた人がどんどん日本企業の社長になる。そうしたら協会は要らなくなるかもしれない」と笑う。

 一方で「誰かが技術を担ってくれる、CTOを雇えば一任できるという経営層の認識は誤っている」と松岡代表理事は強調する。「経営層でファイナンスが分からない人はいないが、それは経営層になるまでに勉強したからだ。技術も勉強すればよいし、そうすべきだ」と続ける。技術的負債やスクラムを語れない社長はもう時代遅れであり、日本企業のDXの出遅れはそうした技術軽視に一因があるとみる。

 技術が当たり前になる社会の実現に向け、日本CTO協会は3つの活動に取り組む。1つはイベントで、当面は1000人規模を目指す。「中国のCTO協会が2019年8月に開いたイベントに出席したところ、設立3年目で2日間・1000人規模だった。大いに刺激された」(松岡代表理事)。

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