「歩けばコーラがもらえる」にはまって考えた、ヘルスケアとインセンティブ

2019/09/17 05:01
高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

 最近、ひそかに毎日確認していることがある。日本コカ・コーラが提供するアプリ「Coke ON」で表示される、1日分の自分の歩数だ。

「Coke ON」で表示される、1日分の自分の歩数
(日経 xTECHがアプリ画面を撮影)
クリックすると拡大した画像が開きます

 Coke ONは、「Coke ON Pay」と呼ばれるカード・電子決済システムと、電子スタンプカードなどから成るアプリ。利用者は、Coke ON Payに対応した自動販売機でコカ・コーラ製品を購入するとスタンプがもらえる。スタンプを15個ためると、コカ・コーラ製品1本と交換できるチケットがアプリ内で発行される仕組みだ。

 日本コカ・コーラは2016年からCoke ONを提供しているが、2018年4月から、新サービスである「Coke ON ウォーク」を導入した。Coke ONの利用者は、あらかじめ1日あたりの歩数目標を設定しておき、1週間の歩数や累計歩数の目標を達成するとスタンプがもらえる。ここで得たスタンプも、製品交換用のチケットの発行に利用できる。

 例えば、1日の目標歩数を5000歩としておくと、1週間で合計3万5000歩以上歩けば1ポイントもらえる。1日の目標歩数は、最大1万2000歩(1週間で8万4000歩)まで設定でき、累計1万歩、10万歩、20万歩などのタイミングでも1ポイントずつもらえる仕組みだ。

 「歩くとコカ・コーラ製品がもらえるよ!」と知人に教えてもらい、早速アプリをダウンロードした。当初は、「仕事柄よく歩くからもらえたらラッキーだな」と軽い気持ちで始めたが、最近は毎日アプリを確認するなど熱中気味。1日どれくらい歩いているのか、このペースで1週間続けると目標を達成できそうかが気になる。歩数を確認するアプリは世の中にたくさんあるだろうが、筆者はこれまで関心が無く使ったことがなかった。そんな自分が歩数に関心を持ち、継続してアプリを利用していることに驚いている。

インセンティブをヘルスケア事業に導入できないか

 日本コカ・コーラは、新規ファンの獲得やブランドの認知向上をメインにアプリを展開していると考えられる。同社以外にもサントリーグループが法人向けに、各企業内に設置した自動販売機を利用して同様な仕組みを展開しているようだ。今回ふと、こうしたアプリや仕組みを、ヘルスケア事業やデータを集める基盤に応用できないかと考えた。

「Coke ON」の電子スタンプカード
(日経 xTECHがアプリ画面を撮影)
クリックすると拡大した画像が開きます

 一般向けのヘルスケアのサービスは、普及が難しいといわれている。病気の予防や健康、生活習慣の管理を目的としたサービスやガジェットは、健康にかなり関心が高い人でなければ始めないし、継続して使われないことが多い。不健康だったり、病気を抱えていたりするけれど無関心な人たちはなかなか振り向いてくれないのだ。だから、今回のような仕組み(ちょっとしたインセンティブ)を利用して健康に関心を持ってもらい、毎日使うことを意識付けできないか――。

 例えば、特定のアプリやガジェットを使って健康データを1週間取り続けたら、利用者にスタンプをプレゼントするイメージだ。さらに健康データに関して、個人を特定できないようにした上で企業が商品やサービス開発などに利用することを許諾すると、さらにスタンプをプレゼントする。

 ヘルスケア事業のサービスの多くは、広めるのが難しい割にサービスの展開方法が「堅い」。ヘルスケアというテーマがそうさせるのかもしれないが、無関心層を巻き込むためには、利用者をうまく誘う「遊び心」が時には必要かもしれない。

この先は日経 xTECH登録会員(無料)の登録が必要です。