デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の機運が高まっているなか、多くの企業で「PoC(Proof of Concept:概念実証)まで進むが、その先に行かない」という声がいまだによく聞かれる。

 ここ数年、PoCの実施件数をデジタル化組織の目標数値にした企業は少なくない。実施件数の目標を掲げること自体は悪くないが、PoC自体が目的になってしまった企業もある。

 例えばデジタル化組織やIT部門が中心にPoCを進めたとする。PoCを終えると目的の大半を果たしたつもりになってしまうのだ。そんな心境でサービス企画を事業部門に提案しても、受け入れられるわけがない。こうしてPoC止まりで終わってしまう。

 しかし、状況は徐々に変わりつつある。デジタル化組織を設立してから数年たつ企業が増え始めてきたからだ。さすがに経営層も業を煮やし始め、「PoCだけを繰り返しているだけでは許されなくなってきた」と、企業のDX推進を支援しているITコンサルタントが複数証言する。

ビジネス、ユーザー、システムの視点で検討

 では、PoCを上手に進めるにはどうすればよいのか。DXを推進している企業や、DXプロジェクトを支援するコンサルタントなどへの複数の取材を総合したところ、成功に導く秘訣が見えてきた。

 それは、「ビジネス」「ユーザー」「システム」の3つの視点を取り入れてPoCプロジェクトを進めることだ。PoC止まりで悩む企業にとっては、この3つの視点が有力な解決策になると記者は考えている。

PoCを成功させるために必要になる3つの視点
[画像のクリックで拡大表示]

 「ビジネスの視点」はそのサービスが収益を生むかどうかである。「ユーザーの視点」はそのサービスが望まれているかどうか。「テクノロジーの視点」はそのサービスが技術的に実現可能かどうかだ。

 コンサルタントによっては「ユーザー」ではなく「ピープル」と呼んだり、「テクノロジー」を「システム」と定義したりしているが、取材で聞く限り、内容はほぼ共通していた。

 3つの視点は、米デザイン会社のIDEOが提唱する、デザイン思考に必要な3要素「Viability(実行可能性)」「Desirability(望ましさ)」「Feasibility(実現可能性)」に通じるところもある。ビジネスの視点がViability、ユーザーの視点がDesirability、テクノロジーの視点がFeasibilityに相当する。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら