国内の金融機関で進むクラウド活用。この流れを加速させる大きな動きが、Amazon Web Services(AWS)による2018年2月の大阪ローカルリージョン(広域データセンター群)開設だ。AWSのリージョンで「ローカル」と呼ばれるのは大阪のみ。それだけに通常のリージョンと異なる点が大きく5つある。意外と知られていないものもあり、注意が必要だ。

AWSのグローバルリージョンの説明図。大阪は唯一のローカルリージョン
(出所:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)
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 1つめは、単独では利用できないこと。大阪ローカルリージョンは基本的に東京リージョンとの併用が前提となる。これは大阪ローカルリージョンが、アベイラビリティーゾーン(AZ)を1つしか持たないことからも分かる。AZは設備やシステムの障害において、独立性の高いデータセンター群だ。AWSのリージョンは通常、複数のAZで構成される。東京リージョンの場合、現時点で4つのAZがある。

海外リージョンでは要件満たせず

 各AZは地理的に離れており可用性の向上に役立つが、より広域の災害対策を実現するにはシンガポールなど海外のリージョンを使う必要があった。金融機関や医療機関の場合、社内規定や順守すべきセキュリティ対策基準などの関係で、海外リージョンにデータを移すことが難しい。国内の金融機関でいち早くAWSを導入したソニー銀行も、これまでは日本国内での可用性を課題に勘定系システムでのAWS採用は見送っていた。

 これらの企業の要望を受け、東京リージョンを補完するものとして登場したのが大阪ローカルリージョンだ。AWSによると、大阪ローカルリージョンは東京から400キロメートル離れた場所にあるという。ソニー銀行は大阪ローカルリージョン開設の発表を機に、勘定系システムの一部である総勘定元帳とその処理システムでのAWS採用を決めた。同行の福嶋達也執行役員は「顧客の重要なデータを国内で保護できることに加え、通信遅延の影響からも有益」と語る。

 2つめは、利用するのに事前の申し込みと審査が必要になることだ。アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)の岡嵜禎技術本部長は、事前審査の必要性をこう語る。「ディザスタリカバリー(DR、災害復旧)や信頼性の向上は、東京リージョンだけでもできる。顧客にとってより良い方法を提案するために事前審査を実施している」。

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