「このチームは本当にすごい」「(チームに点数をつけるとしたら)100点満点の1000点」――。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャを務める津田雄一氏が、小惑星「リュウグウ」への2回目のタッチダウンを成功させた直後の記者会見で語った言葉だ(図1)。

図1 はやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトマネージャの津田雄一氏
図1 はやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトマネージャの津田雄一氏
右から2番目。2019年7月11日の2回目のタッチダウンを成功させた直後の記者会見での様子。満面の笑みで報道陣の質問に答えた。(撮影:日経 xTECH)
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 はやぶさ2チームは、ここに至るまで数々の試練を乗り切ってきた(「世界初のミッションに挑戦、はやぶさ2の軌跡」)。その原動力となったのが、徹底した準備である。そこには困難なプロジェクトを成功させる秘訣が隠されているように思える。

 はやぶさ2チームは、様々な運用に先立ち、はやぶさ2の動きをコンピューター上で模擬するシミュレーターを活用して数々の訓練を重ねてきた。起こり得る様々なトラブルを模擬的に発生させ、それらにいかに対応していくべきかを訓練してきたのだ。

 想定したトラブルの数は実に数百通り。それらを組み合わせて訓練ごとに全く異なる状況を発生させる。そして、チームのメンバーたちは、本番さながらにトラブルを究明していく。NHKの報道では、1回の訓練が30時間にも及ぶことがあったという。そして、こうした訓練を2年間にわたり何度も繰り返してきた。

 シミュレーションに加えて、必要に応じてリハーサルを差し込み、運用前の検証や訓練を徹底する柔軟さも、同チームの強さを支える1つの要素だ。好例が、1回目のタッチダウン運用を延期し、成功に向けて数回のリハーサルを追加したことだ。見切り発車はしない。そのためには、延期もやむを得ない。ミッション達成に向けた強い覚悟が感じられる。

 さらに、チームのメンバー一人ひとりの意識の高さが、準備の質を高める。はやぶさ2チームは前述の徹底した訓練や柔軟さに加えて、ある運用を実施すべきかどうかを判断するために、「意地悪な想定をして、これならできないということ(状況)を出していく」(津田氏)。その上で、それがいかに起きないか、あるいはどうすれば回避できるかを検証していく。リスク管理を徹底することで、失敗の芽を摘んでいくのだ。津田氏によれば、メンバー一人ひとりの自己批判能力の高さがそれを可能にしているという。

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