2019年7月の参院選。家族と近所の小学校を訪れた筆者は、投票所になっていた体育館でずっと下を向いていた。といっても、仕事で失敗して落ち込んでいたのではなく、小銭が落ちていないか探していたわけでもない。フローリングを土足で汚さないように張ってあるシートを、もう少し正確に言えば、シートを固定するためのビニールテープを見ていたのだ。

 実は、シートを固定するのに使う粘着力の強いテープは、フローリングの「天敵」だ。乱暴に剥がすと表面のポリウレタン樹脂塗装が剥がれたり、場合によってはフローリング表面の木材までも一緒に剥がれて「ささくれ」ができたりする。

 フローリングを傷めないためには、斜めにゆっくりとテープを手繰り寄せながら剥がすのがこつだが、仕事が終われば「早く撤収したい」のが人情というもの。一息にベリッと引き剥がすかもなあ、だとしたら良くないなあ――。投票の最中も、とにかく気になって仕方がない。

フローリングに貼ったテープをゆっくりと剥がさないと、塗膜や木材の表面を傷め、ささくれができる(写真:フローリング協会)
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 なぜこんなことが気になるかというと、この少し前に、体育館でたびたび起こっている事故について取材したからだ。事故というのは、体育館のフローリングから木片が剥がれて利用者に突き刺さるという、想像するだけでも痛くなるような内容。バレーボールなどの球技で床に滑り込んだ際に起こるケースが特に多く、中には木片が内臓にまで達した重大事故もある。ちょっとしたささくれや亀裂を放置すると、だんだんと大きくなり、衣服などに引っ掛かって大きく裂けてしまうのだ。

(関連記事:体育館のフローリングが凶器に

バレーボールのフライングレシーブで木片が突き刺さる事故が起こっている(資料:消費者庁の消費者安全調査委員会)
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 17年5月、消費者庁の消費者安全調査委員会がこの種の事故を分析した報告書をまとめ、施設の管理者などに警鐘を鳴らしたが、事故はなかなかなくならない。19年2月22日には埼玉県三芳町の総合体育館で、同月26日には名古屋市東スポーツセンター第1競技場で、同様の事故が発生している。

三芳町総合体育館でフローリングが剥がれた箇所。木の繊維に沿って長さ42cmの木片が剥離し、30cm分が人に刺さった(写真:三芳町)
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