「ウィーーーン」。 

 モーターで駆動するEV(電気自動車)特有の走行音は、ガソリンやディーゼルといった内燃機関車とは違う独特なもの。数年前ならば、EVを見かけたらついつい耳をすましてその走行音を聞いていた。ただ、1日あたり10回以上もEVを見かける今、その特別感は薄れつつある。

 我々の生活において一般的な存在となったEVだが、今回筆者が試乗する機会を得た車両は走行音こそ同じものの、姿形は一味違う。最大の特徴は、立ち乗りであること。そして、前2輪、後ろ1輪の計3輪を有する1人乗りのパーソナルモビリティーであることだ。重心を左右に移動させながら旋回するその姿は、ゲレンデを滑るスキーの動きを彷彿(ほうふつ)とさせる。

 同車両を開発したのは、2輪車大手のヤマハ発動機である。名称は「TRITOWN(トリタウン)」で、現在は試作車という位置付けだ(図1、2)。このほど、新潟県長岡市の国営越後丘陵公園にて一般利用者に貸し出す実証実験を行った。

図1 ヤマハ発動機が開発した立ち乗り3輪EV「TRITOWN(トリタウン)」
駆動用の電池パックは、容量380Whのリチウムイオン電池。比較的クリアしやすい安全基準の中で高出力を得られる電圧48V系のシステムで造った。電池パックは着脱式でボディー部分に搭載する。約2時間の充電で約30kmを走行できるという。車両質量は約40kgで、車両寸法は全長1140×全幅620×全高1140mmである。(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

図2 後輪に内蔵したイン・ホイール・モーター(IWM)で走る
モーターの出力は500Wで、市場に出回る小型モビリティー用の汎用品を調達した。(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 公園の敷地内の1周数kmで高低差が最大200m近くあるコースを走ることで、「利用者や運用事業者からの意見を集めて量産につなげる」(同社モビリティ戦略部企画2グループ主事の佐野貴透氏)という。

 使い方はこうだ。まず、自転車やバイクとは違い、車両の後方から左右の足をテンポよくステップ部分に乗せる(図3)。その後、フロントフォークとハンドルをつなぐホークステムに備えるレバー式のロックを外し、車両を前後左右に動けるようにする。このロックは、クルマのサイドブレーキのような機能を持つ。

図3 車両の後方から左右の足をテンポよくステップ部分に乗せる
(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら