日経コンピュータ8月8日号の特集「業績ランキング2019」では、ITサービス企業の業績と合わせて、従業員の給与に焦点を当てた。最近ではデータサイエンティストやAI(人工知能)に詳しいエンジニアを数千万円の年収で雇う制度があちこちで出始めている。そんな特殊技能の持ち主ではなく、一般的なITエンジニアで高給な人はいないのか。特集の取材を進める際にそんなことを考えていたら、ふとあるITエンジニア松田氏(仮名)を思い出した。実はこの松田氏、常用型派遣の社員として大手システム会社に勤務し、その年収は1000万円をゆうに超える。

国税庁の2018年の調査によれば、年収1000万円を超える人は給与所得者の4.5%しかいない
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 人づてに紹介してもらって松田氏に取材したのはもう4年前になる。派遣社員で1000万円を超える例はあまり聞いたことがなかったのを記憶している。今回、特集で給与について触れるので、久しぶりに取材をお願いしたところ、快諾してもらえた。まずは、今も1000万円をキープしているのか確かめねばなるまい。

 「はい、以前取材してもらってからもずっと1000万円をキープしていますよ」

 ほっと一安心で取材を続ける。次に聞いたのは業務内容だ。当時は主にデータベースのスペシャリストとして高収入を得ていたが、現在はどうなのか。

 「今はシステム開発案件におけるPM(プロジェクトマネジャー)ですね」

 なるほど。プロジェクトの成否や黒字になるかどうかのカギを握るPMにステップアップしていた。派遣社員の動向に詳しいパソナテックの錦戸新吾HRソリューション事業部長によれば、「PMなど企業の利益に直結する貢献をしている派遣エンジニアであれば、年収1000万円クラスは珍しくない」という。余談になるが、最近の有望職種は、PMに加えてクラウドのインフラ設計ができるエンジニアだという。

 松田氏は100人規模のプロジェクトを指揮しているということで、年収1000万円も納得だ。ただ、働き方改革の影響で労働時間は減ったという。時給と労働時間で収入が決まる派遣社員には逆風だが、「単価が上がっているので、減っておらず、微増を続けています」(松田氏)。

 「赤字プロジェクトを出したことがない」というのが自慢の松田氏は、その実力が確かなこともあり、たびたび社員にならないかと誘われるそうだ。しかし、4年前もそうだったが、今も断り続けているという。その会社の社員なら年収1000万円も現実的な数字なだけに、3カ月更新の派遣社員より、安定も付いてくる正社員がよいように思える。

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