2000年代半ばに流行した「セカンドライフ」を覚えているだろうか。デジタル空間の街で、CGで作られた「アバター」を自分の分身として使って他人と交流する。2003年に米リンデンラボが運営を始めたサービスで、2008年には世界で約1460万人の会員がいたという。日産自動車など国内の大手企業も相次いで参入し、世界中から多額の投資を集めるなど、当時かなり注目されたサービスである。

 しかし、セカンドライフの勢いは長くは続かなかった。当時のパソコン(PC)では、3D(3次元)CGのアバターを描画するには処理性能が不足していたほか、用意されたアバターがリアル(現実)に近い見た目で好みが分かれたり、何でもできる自由度の高さが裏目に出てしまったりして、もう1つの経済圏としてのプラットフォームになりきれなかった。

 そんなセカンドライフは、世に出るのが早すぎたと言ってもいいだろう。というのも、10年以上が経過した今、セカンドライフのようなアバターの世界、いわゆる「メタバース」が再び実現する兆しを見せているからだ。

通販でアバターを手軽に買える

 まずは下の画像を見てほしい。この画像で手を振っているのが、他でもない記者自身のアバターである。リアルでは周囲に「新人なのに貫禄がある」と評される記者の姿だが、バーチャル世界では、このようなかわいいアバターの姿になって他人と交流できるようになった。しかも、通販サイトでは、このようなアバターが5000円以下で購入できる。

記者が使用しているアバターの1つ
記者が通販サイト「BOOTH」で購入した。(撮影:日経 xTECH)
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 記者の場合、自作したり購入したりしたアバターを10種類以上保有している。全てのアバターを常に使用するわけではないが、通販サイトで気に入った見た目のアバターを見つけたら、すぐに購入することが多い。

 このように誰でもアバターを売買できる環境が整ってきたことが、昨今のアバターブームを引き起こした理由の1つである。例えば、ピクシブが運営する個人向け通販サイト「BOOTH」では、少なくとも1000件以上のアバターやアクセサリーなどが販売されており、それらの展示即売会も開催されているほどだ。

個人向け通販サイト「BOOTH」で販売されているアバターやアクセサリー
アバターの展示即売会「バーチャルマーケット2」に関連した出品だけでも1000件を超えている。(出所:「BOOTH」のWebサイト)
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 3Dモデルを作成できる個人制作者がアバターを個別に販売できるようになり、利用者はそれらを買うだけで自分のアバターを持てるようになった。さらには、アバターの衣服に当たるテクスチャーだけを販売する制作者もいて、アバターの着せ替えも簡単にできる。誰でも購入可能な一般向けに販売されているアバターは5000円程度のものが多いが、1体5万円や10万円と高価なものを数体のみ限定販売する制作者もいる。こうした価格でも希少価値があるため、すぐに完売することも多い。

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