2017年に、独立行政法人造幣局が1年間で製造した1円玉は47万7000枚だったそうだ。消費税が導入された翌年の1990年に約27億6895万枚だったことを踏まえると、激減している。十分な数の1円玉が市中に出回っているうえ、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げで端数の需要が減ることを見越しての対応なのだろう。

ペニー硬貨を廃止したカナダでは、市場でも当たり前にクレジットカード決済ができる
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カナダドルに交換する機会のないまま旅が終わった

 なぜこんな数字を調べてみたのかというと、一足早い夏期休暇で訪れたカナダで1セントコイン、いわゆるペニー硬貨を1枚も見かけなかったからだ。実はカナダでは2013年にペニー硬貨の利用を廃止。1セントコインを1枚作るのに1.6セント以上かかる製造コストを問題視して廃止した結果、年間で約1100万カナダドル(約9億4000万円)もの削減効果があったという。

 誕生から100年以上。累計350億枚以上も作られたペニー硬貨が市中から消えた結果、カナダ国民が手に入れたのはキャッシュレス社会による恩恵だ。米国以上に普及していたクレジットカードの利用率がさらに向上し、2007年の時点で49%と元々高かったキャッシュレス(非現金決済)化比率は2017年には56.4%にまで上昇している。

 実際に今夏訪れたトロントの街では、スーパーやレストランは当然として、市場や屋台、チケット売り場で大半の人がクレジットカードで支払いをしているのを見かけた。筆者は入国から出国まで、手持ちの現金を1枚もカナダドルに交換する必要がないままで済んだほどだ。

街中にあるアイスクリームの屋台などでも当たり前にクレジットカード決済ができる
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 キャッシュレス化が進んだ理由は、単にペニー硬貨が流通しなくなり使いにくくなったからだけではない。現金よりクレジットカードなどの手段で支払ったほうがお得になるようなルールをカナダ政府が打ち出したのが大きい。

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