筆者は、政府が2020年10月の運用予定の「政府共通プラットフォーム」に米アマゾン・ウェブ・サービスのクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」を採用する方針を伝える記事をまとめた。ツイッターなどSNSで意外に多かったのは「なぜ国内のクラウド事業者を使わないのか」という反応だった。

 政府情報システムのプライベートクラウド基盤である政府共通プラットフォームは現在、民間クラウドサービスの利用を前提に次期基盤となる「第二期整備計画」を進めている。政府関係者によると、このうち設計・開発などの請負業務を落札したアクセンチュアがAWSの利用を前提に事前検証を進めている。

第二期政府共通PFの整備スケジュール
(出所:総務省行政管理局)
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 実は政府関係者からも外資系のクラウドサービス事業者を選ぶかどうか迷う声を聞く機会があった。一方で、ある政府関係者はAWSの施設見学に訪れて「品質が高いのだから(他社に)負けるはずがないと自信満々だった」と感想を明かし、ほかのクラウド事業者との規模やコストの違いを目の当たりにしたようだった。

 政府は2017年5月に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」などで民間のクラウドサービスの利用を第一候補にする「クラウド・バイ・デフォルト原則」を打ち出した。安全保障などに関わる政府情報システムは対象外にできるものの、政府として国内にセキュリティーや安全性を確保する方法で設計を進めているようだ。

 もう一つSNSで多かったのは「国民の税金でシステムを構築するのにアマゾンは税金を払っていないのではないか」という疑問の声だった。

 確かにGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれる米国の巨大IT企業などは、日本を含む世界各国で巨額の利益を上げながら、法人税率の低いタックスヘイブン(租税回避地)や低税率国を活用して税の負担を回避していることで知られる。

 こうした租税回避が可能なのは、これまでの国際課税ルールが経済のデジタル化に追い付いて来なかったからだ。現在の国際課税ルールでは、企業が能動的な事業活動を担う支店や工場といった「恒久的施設(PE)」を置いた国に課税権がある。

 ところがGAFAなどは税負担の低いタックスヘイブン(租税回避地)を介して海外企業を優遇するアイルランドなどに拠点を作って、日本などの国にサービスを提供している。サービスを提供している国にサポートやPRのための要員しかいない場合、どの国の課税も回避できる国際的な「二重非課税」が生じる。

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