米グーグル傘下の英ディープマインド(DeepMind)の人工知能(AI)ソフト「AlphaGo」(アルファ碁)が2015年10月に人間のプロ棋士に勝って以来、AIへの人々の注目度は高まる一方だ。

 AIは既にビジネスの現場でも活躍している。製造業における機械の故障予測や画像解析による商品の検品、音声認識で人と対話する接客ロボットなどだ。AIは過去の実績データを学習することで人間に代わり検知や予測を担ったり、対話データを学んで定型的な問い合わせに対応したりできる。

 AIをどの業務に適応すべきかを考えることは、企業にとって喫緊の課題だ。やみくもに様々な業務に導入しても効果が出なかったり、投資が無駄になったりする恐れがある。「人間と機械の関係はどうあるべきか」という視点で最適な解を考える必要がある。

 人間と共に仕事をする機械と言えば、これまで物理的なロボットがその代表格だった。単純な繰り返し作業や人間では危ない作業を代替する形で、人間と仕事を棲み分けてきた。

 例えば米アイロボットのコリン・アングルCEO(最高経営責任者)は創業以来「3D=Dull 、Dirty、 Dangerous(退屈、不衛生、危険)な仕事から人々を解放する」ためのロボットを開発する、という理念を掲げている。

 同社は掃除ロボット「Roomba」(ルンバ)をはじめ、海洋探査や地雷除去のロボットを開発してきた。日本では東日本大震災の際に福島第1原子力発電所において、人が立ち入れない危険な場所に同社のロボット「Packbot」(パックボット)が潜入調査して活躍した。

米アイロボットの掃除ロボット「Roomba」(ルンバ)。人間に代わり部屋中の床のホコリを吸い取り綺麗にしてくれる
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 「3つのD」を人からロボットに代替させる。人とロボットのあり方として理想的と言えるだろう。

 一方AIは、こうした物理的なロボットとは活用の仕方が異なると思われる。ロボットのようにわずらわしかったり危険だったりする仕事を単体で代替するのではなく、人だけではこれまでは解決できなかったり、人にはできなかったりしたことを、人がAIの力を借りて実現する。AIの利用を通じて仕事の質を高め、ひいてはより効率的な社会を実現しようとしている。

 ここではコリン・アングルCEOにならい、人がAIと共同で仕事をすることで減らせる社会の課題「3つのK」について、具体的な事例と共に紹介しよう。

AIでフードロスを減らす

 1つめのKが「過剰在庫」だ。特に食品・飲料業界は賞味期限が存在したり、ビールなど「鮮度が命」のものがあったりするため、商品の在庫量や在庫期間はできるだけ減らすのが望ましい。かといって欠品は販売の機会ロスにつながってしまう。

 ジレンマの中で過剰在庫の削減に挑むのが「需要予測AI」だ。江崎グリコやアサヒビールなどの企業が先行して販売計画の策定や生産量の調整に役立てている。

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