RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ブームは本物か。記者は本物と確信している。一過性の盛り上がりではなく、企業や自治体に確実に浸透していると感じているからだ。

 事実、RPAの導入企業は急増している。アビームコンサルティングとRPAテクノロジーズが2017年6~12月に手掛けたRPA導入企業の件数は1カ月当たり40件。それ以前は1~6月の合計が35件で、半年で6倍以上に増えたことになる。両社の合計だけでも2018年末には累計1000件を超える見通しという。日経コンピュータは独自の試算を元に、2018年には国内全体のRPA導入企業数が5000社を突破すると見積もった。

 盛り上がりの理由は明確。現場のホワイトカラー、経営層、情報システム部門、三者それぞれにメリットがあるからだ。現場の業務部門にとっては、うんざりしそうなルーチンワークを効率化してくれること。コピー&ペーストの繰り返しによるデータの書き込みや転記、データの比較や成形…。PCを使った定型作業を自分に代わって高速、かつ正確にこなしてくれるのだから、ホワイトカラーにとっては歓迎すべき存在だろう。

 経営者にもRPAは魅力的だ。ホワイトカラーの生産性向上や、むやみな長時間労働の是正といった働き方改革は切迫した経営課題。人工知能(AI)の活用も企業経営者の一大関心事だが、RPAはいずれAI技術を機能の一つとして取り込む見通しだ。働き方改革とAI。今時の経営者にとってのマジックワードがそろっているRPAに関心を示すのは当然と言える。

システム改修いらずの利点がアダにも

 そして情報システム部門にとっては、大がかりなシステム開発を経ずにシステムの利用レベルを高められることが利点だ。RPAはPC操作の自動化プログラムであるソフトロボに人間のPC操作手順を記録させ、社内システムやWebサイトからデータを取得したり書き込んだりする技術。ものすごく高速かつ大量にPCを操作し続けても全く疲れを見せない社員を雇い入れたようなものだ。

 ところが、この情報システム部門にとってのメリットが、そのまま情報システムにとってのデメリットになる恐れがある。既存システムに手を入れる必要がないということは、運用性や保守性に問題があって使い勝手が悪くなっていたシステムでも、表面上の利用効率を高めることができてしまう。短期的な問題の解決にはなるかもしれないが、システムそのものの運用性や保守性を高め、使い勝手を良くするという本質的な課題に手を付ける機を逃してしまいかねない。

 システムのブラックボックス化を助長する恐れもある。複雑なシステムを人間が直接操作するのではなくソフトロボが肩代わりすることで、利用者にとってシステムの内部構造が分かりづらくなり、結果としてシステムが複雑なまま固定化されてしまうというものだ。

 例えばRPAは簡易なシステム間連携ツールとしても応用できる。ERP(統合基幹業務システム)パッケージで開発した基幹システムからデータを取得、加工して、他のシステムに渡すといった処理だ。

 EAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)やファイル転送、あるいはERPパッケージのアドオン(追加開発)など、大がかりなコストをかけてシステム開発を施すほどでもない処理の場合、これまでは社員がやむなくシステムを1つひとつ操作してデータを取得、加工するか、あるいは派遣社員を雇うなどして作業を任せていた。これをソフトロボが肩代わりすれば、確かに社員は煩わしいPC操作から解放される。ただしロボ依存の度が過ぎるとシステムの微修正のたびにロボも改修を重ね、いつしかRPAを含むシステム全体の中身を把握しきれない、などという事態に陥りかねない。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら