「6月7日正午までに仕様書を作成してください。よろしくお願いします」。

 チームリーダーがメンバーに作業を依頼したメールの文面である。メールを受け取ったメンバーは、書き手であるリーダーの意図に反して、リーダーが怒っているように感じるかもしれない。「指示を伝えました。その通りにやってください。言い訳は聞きません」というメッセージが込められているとも読めるからだ。

 メールは対面でのコミュニケーションより読み手の感情を害しやすい。対面と違って、表情や口調、身振り・手振りといったノンバーバル(非言語)のコミュニケーション手段でメッセージのニュアンスや感情を伝えられないためである。

 読み手がメールの文面や書き手との日ごろの関係性から「書き手が怒っている」「自分を突き放している」「ケンカを売っている」といったネガティブな印象を受けたとき、メールだけだとノンバーバルなフォローが利かず、ネガティブな感情が増幅しやすい。そのため、売り言葉に買い言葉で、ときに感情的な内容のメールを返信する事態に発展することもある。

 この趣旨の記事「怒ってないのに『ケンカ腰』、IT現場にはびこる問題メール」を日経 xTECHの特集として掲載したところ、予想外の反響があった。実は2005年に書いた記事を再編集したものだったが、10年以上経っても問題が改善していないことを改めて認識した。

 何を隠そう、かつては記者も読み手に配慮したメールを書くのが得意ではなかった。まったく悪気は無いのだが、冒頭のようなキツい表現を連発していた。そのことに気付かされたのは、メールの達人であるITアーキテクトのKさんが指摘してくれたからだ。

 Kさんとは、連載の寄稿者と編集者という関係でメールをやり取りしつつ、寄稿記事の内容を確認するために毎月対面のミーティングを開いていた。その対面のミーティングでやんわりと「メールの文面に気を配ったほうがいい」と諭されたのだ。

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