作っている雑誌で、これまで何度も取り上げてきた人工知能(AI)。中でも中核と言える「ディープラーニング」を、先日、数学的にちゃんと理解できて感動した、という話である。

 今更と思われた読者もいるかもしれないが、数式を追って結論にたどり着いたとき、思わず「おお、分かった!」と声を上げてしまった。基本が分かると、関連する技術も結構すらすら理解できるようになって少々驚いている。

 筆者は、PC用LinuxやPCボード「Raspberry Pi(ラズパイ)」を主題とするホビー向けの雑誌を作っている。AIは既に身近な存在になり、フリーソフトで顔認識をしたり、便利なAIフレームワークを使えば数行のPythonプログラムで機械学習ができたりする。そんな記事をもう数十本は企画して、執筆してもらってきた。

 しかし、機械学習やディープラーニングの仕組みを自分で理解していたかというと、「何となくは」としか言えなかった。新しい技術への好奇心は強いほうなので、たくさん出ている関連書籍を数冊は読んでいた。しかし、比喩的な話に終始して結局よく分からなかったり、数学的な話がいきなり出てきて全く歯が立たなかったりした。

 そんな機械学習やディープラーニングを理解できるようになったのは、担当する『ラズパイマガジン』で機械学習の連載を執筆してもらっている赤石雅典氏にポイントを教えてもらったからだ。赤石氏は、日本IBMでワトソン&クラウドプラットフォーム事業部に所属し、金沢工業大学虎ノ門大学院でAI技術の講師も務めている。

必要な数学の分野は広くない

 赤石氏によれば、ディープラーニングで使う数学の分野はかなり限られるという。必要な分野だけ勉強すれば、最短コースでディープラーニングを理解できるのだ。

 必要な数学は「微分・積分」「ベクトル・行列」「指数関数・対数関数」「多変数関数の微分(偏微分)」「確率・統計」の5分野。広そうに見えるが、各分野の中で使う概念はごく一部だ。例えば、積分はディープラーニングではほとんど使わない。基礎的な考え方をざっくり理解していれば十分だ。ベクトルや指数、対数などは、高校で習った基本を部分的に復習すれば事足りる(筆者を含め、多くの人が忘れているだろう対数は特に重要だ)。

 一方の微分は、ディープラーニングの理解に欠かせない中核となる概念である。大学で習う「偏微分」まで、もう当たり前のようにどんどん出てくる。特に重要な概念に「合成関数の微分」がある。これが分かると、ディープラーニングの世界にぐっと近づいてくる。

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