「網が細かすぎて、マグロもメダカも一網打尽にするような規制はよろしくない」(東京大学の中山信弘名誉教授)、「権利者が保護を欲していない、保護の必要性もない著作物を含めて、一律に著作物を利用する自由を萎縮させる」(北海道大学大学院の田村善之教授)――。

 文化庁が2019年の通常国会に提出しようとした、違法ダウンロードの対象拡大を盛り込んだ著作権法改正案。ところが法案の提出間際になって大論争を招き、結局は今国会への法案提出を断念せざるを得ない異例の展開をたどった。

 明治大学知的財産法政策研究所が2019年3月17日に開催したダウンロード違法化関連のシンポジウムでは、文化庁が作成した改正案の内容や文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会(以下、法制・基本小委)における議論の経過などを巡り、知的財産権分野の著名な学識経験者たちが相次いで、冒頭のような苦言を文化庁に呈した。

明治大学知的財産法政策研究所が2019年3月17日に開催したダウンロード違法化関連のシンポジウムで講演する、東京大学の中山信弘名誉教授
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 それだけではない。今回の著作権法改正案は、海賊版コンテンツがインターネット上で急速に広がるのを食い止めるため、緊急性が高い法改正と言われていた。改正案には「漫画村」に代表されるリーチサイト規制も盛り込まれていた。しかし改正案の国会提出が見送られたことで、リーチサイト規制も実現が遠のいた。

同シンポジウムで講演する、北海道大学大学院の田村善之教授
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 文化庁に早期の海賊版対策を求めていた権利者側からは当然、不満の声が上がっている。「要望してきた者としては(ダウンロード違法化の改正案提出の見送りに)リーチサイト規制まで道連れにされるのは複雑な気分」(マンガ・アニメ海賊版対策協議会事務局長の桶田大介弁護士)。

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