エクセルやワードを起動すると現れる、イルカの「カイル君」を覚えているだろうか。米マイクロソフト(Microsoft)のオフィス製品「Office 97」に搭載されたヘルプ機能である。今から22年も前のことだ。

 ソフトの操作に困ったとき、イルカと対話する感覚でカイル君に質問ができた。恐らく、現在30代以上の人にとって、最初のチャットボット体験だったに違いない。

(出所:lineartestpilot / PIXTA)
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 そんなチャットボットを業務システムとして使う企業が、最近増えている。パソコン関連のヘルプデスクや人事、経理といった社内手続きの質問など、社員からの問い合わせ対応を肩代わりしてもらうためだ。

 チャットの画面に質問を入力すると、AI(人工知能)が対話しながら問題解決に導いてくれる。社員同士でメールや電話のやり取りをしなくて済むので、余計な仕事を減らせるツールとして急速に広がりつつある。

 かつてのカイル君は、お世辞にも使い勝手がよくなかった。的確な答えを返してくれないし、画面の隅にいると正直邪魔だった。当時、カイル君への質問で最も多かったのは、皮肉にも「イルカの消し方」と言われたほどだ。

 「チャットボットは、これからの技術なのだろう」。カイル君の愛らしい姿を見ながら、筆者はそう感じていたと記憶している。

 あれから20年以上の時を経て、チャットボットが盛り返しを見せている。

 矢野経済研究所の調べでは、国内の「対話型AIシステム市場」は2018年に約24億円。それが4年後の2022年には、5.5倍の132億円まで成長する見通しだという。

 市場の急拡大を見越して、チャットボットを提供するベンダーが相次いでいる。一部からは「チャットボット市場は、既に(競合だらけの)レッドオーシャン」との声まで聞かれるほどだ。

 数多くあるチャットボットの中から、自社に適した製品を選べるのは、利用企業にとってはいいことである。後はシステム開発や運用をいかにうまく進めるかだ。

 そこで筆者は過去に取材したチャットボットの導入事例を基に、その勘所を考えてみた。あくまでも筆者の第三者的な視点で捉えた話であることは、最初にお断りしておく。

 ポイントは、具体的には2つ。「導入前に業務を標準化すること」「全てをAIとの会話で解決しようとはしないこと」である。

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