2019年5月1日に迎える改元に向けて、企業や行政による情報システムの改修対応が佳境を迎えている。

 実のところ、金融や行政機関など特に市民生活に影響が大きい業務システムを運用する企業や団体の対策はほぼメドが付いている。大規模システムを扱う企業や団体は改元の方針が決まった2017年や法案が審議された2018年から準備を進めてきたからだ。

 例えばりそな銀行は「新元号の確定がいつになるか分からない前提で対応を進めてきた」とする。同行は既にシステム改修を終えたうえで、仮の元号を使った検証テストも2019年2月までにほぼ終えたという。

 政府は1カ月前の4月1日に新元号を公表する。社会に影響が大きい大規模システムはこの時点までに仮元号を使ったシステムテストを終え、5月1日までの1カ月の間に余裕を持って新元号の文字列を使った最終テストを実施することになりそうだ。

改元への対応は銀行や証券、保険など金融帰化や行政機関ではほぼめどが立ってきた。写真は東京証券取引所
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 しかし今回の改元対応だけでは安心できない、新たな“元号”問題を指摘する声が出ている。年月日の日付データを内部で昭和2ケタ年のまま扱っているレガシーシステムが、日付を正しく処理できなくなる「昭和100年問題」だ。

 該当するシステムが動いているならば、昭和100年に相当する2025年1月1日以降の日付データを扱う際にシステムに問題が生じる。残された年月は6年を切った。

急だった平成の改元、急場しのぎの改修も

 昭和100年問題は年を2ケタとして扱ったことに起因する点で、2000年問題に近いといえる。昭和期に構築されたレガシーシステムのうち、日付を和暦の2ケタで扱っており、1989年の平成への改元時にデータ構造を見直さず表示の変換だけで対応したシステムがこの問題を抱えている可能性が高い。

 日付の内部データは昭和2ケタ年のままで、「昭和65年」ならば画面や帳票出力を「平成2年」に変換するようプログラム改修で対応するといった具合だ。日付データに和暦を採用したシステムに絞られる点で、問題が疑われる対象システムは2000年問題のときよりは絞られると推測される。

 ただし和暦を採用したレガシーシステムが残っている場合は、問題が生じる可能性が十分にある。平成への改元は昭和天皇の崩御で急きょ決まった。内部データを昭和のままにして表示を平成に変換して対応する措置は、限られた時間で業務を止めないために、当時は最も容易な改修方法だったからだ。

 4ケタの西暦を2ケタに省略することは、記憶媒体やメモリーを節約する狙いがあった。和暦にも同じ効果があるが、そもそも同じ和暦が100年以上使われた例はない。システム設計者が思い込みで昭和100年以降を想定できず、年を2ケタとしてデータを設計してしまいがちになることも想定できる。

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