日本でもクラウド活用に広まりが出てきた。調査会社ガートナー ジャパンが2月に発表したレポートでは、国内大企業(従業員2000人以上)では、クラウド上でアプリをスクラッチ開発する割合が6割を超えるという。既存システムを移行してコスト削減を図る用途に加え、人工知能(AI)活用に代表されるデジタル変革(DX)の場として、クラウドの重要性は増している。

 クラウドサービスで他をリードするのが、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」の3大クラウドだ。いずれもIaaSからPaaSやSaaS、AI関連まで幅広いサービスを提供する。38項目を比較し、それぞれ「人気者」「優等生」「天才肌」とキャラクター(特徴)付けした記事を2月に公開した。ここでは、3者の課題を探ってみたい。

優等生にスピードはあるか

 最初に取り上げるのはMicrosft Azure。優等生キャラとした理由は、ユーザーやパートナーの動向に目配りしながら全方位でサービスを拡充する着実さをとらえたからだ。

 米マイクロソフトは、WindowsやActive Directory、.NETやExchangeといった同社の技術・製品を利用する多くの顧客をオンプレミス(自社所有)環境に抱える。こうした顧客は必ずしも一足飛びにAzureに移行できるわけではない。そこで同社が提案するのが、Azureとオンプレミス環境を併用するハイブリッドクラウドだ。その実現を後押しすべく、オンプレミス向けのAzureアプライアンスである「Azure Stack」まで用意している。

 仮想マシンやデータベース、機械学習、開発環境などほとんどのサービスにSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を定めるのも、3者の中でAzureだけだ。サポートするOS種類も一番多い。オンプレミスの顧客が無理なくAzureに移行できるようにという気づかいを感じる。

 一方で優等生であるがゆえの物足りなさも健在化してきた。それはスピードの不足であり、Azureの抱える弱みの一つといえる。例えばオープンソースソフトウエア(OSS)のデータベース(DB)の提供。クラウドで商用ライセンスを使いたくないと考えるユーザーにとって、MySQLやPostgreSQLのマネージドサービスは有力な選択肢である。ところが、Azure上の該当サービス「Azure Databse for MySQL」「同 for PostgreSQL」は2017年5月にプレビューが発表された段階にある。

 ライバルであるAWSが該当サービス「RDS for MySQL」の最初のリリースを発表したのは2009年にさかのぼる。もちろん、マイクロソフトがAzureのOSS対応を本格化したのは、2014年にサティア・ナデラ氏がCEOに就任してからなので、まだ日は浅い。同社のSQL Serverをベースに開発している難しさもあるだろう。しかしクラウドを選ぶユーザーにとってこうした事情は関係ない。クラウドサービスの進化のスピード基準で考えると、Azureの対応は遅いと言わざるを得ない。

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