富士フイルムホールディングス(HD)がデジタルトランスフォーメーション(DX)に力を入れている。AI(人工知能)などを活用し、新サービスを生み出したり、業務を効率化したりして収益力を高めるためだ。富士フイルムHDといえば、米ゼロックス(Xerox)買収の先行きに注目が集まるが、DXに目を向けると、また違った経営戦略が見えてくる。

 2018年2月16日夕、羽田空港。着陸したニューヨーク発の日本航空便に富士フイルムHDの古森重隆会長・CEO(最高経営責任者)の姿があった。同1月31日に買収すると発表したばかりのゼロックスの本社を訪ね、ジェフ・ジェイコブソン(Jeff Jacobson)CEOら当時の経営陣に挨拶し、日本に帰国したところだった。

富士フイルムホールディングスの古森重隆会長・CEO
(写真:村田 和聡)
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 「いいやりとりができた」。古森会長は長旅の疲れを見せず、こう言い切った。ゼロックスを取り込み、全世界への販路を手に入れるのは間近と思えた。

 それから1年以上がたち、状況は様変わりした。著名投資家のカール・アイカーン(Carl Icahn)氏らゼロックス大株主の反対で、買収のめどが立たないのだ。既にジェイコブソン氏はゼロックスを去り、アイカーン氏に近いとされるジョン・ビセンティン(John Visentin)氏が新たなCEOに就いた。

 2019年2月7日、2018年4~12月期の決算会見に臨んだ富士フイルムHDの助野健児社長・COO(最高執行責任者)は買収の現状を問われ、「(ゼロックス側から)何ら返事がない」と険しい表情で話した。富士フイルムHDは買収条件を見直すつもりは無く、解決の糸口すら見えてこない状況だ。

富士フイルムホールディングスによる米ゼロックス買収のプレスリリース
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