「これまで人が文書を読んでその意味を理解しなければ先に進められなかった仕事を、機械学習やAI(人工知能)を活用すると効率化できそうだ」。記者は最近、強くこう思うようになった。この年末年始に、大量の文書データを読んで内容を把握する作業を機械学習で効率化した事例や関連するソリューションを取材する機会に多く恵まれたことが大きい。

 文書データの内容の把握に自然言語処理に関する機械学習を適用した事例がトヨタ自動車の社内カンパニーの1つであるパワートレーンカンパニーにおける取り組みだ。同カンパニーはエンジンやトランスミッション、ハイブリッドシステムなどを開発・製造している。

機械学習で新入社員と部署をマッチング

 同カンパニーの人事担当者は毎年春になると、技術系の新入社員をどの部署に配属するかを検討している。従来は数百人分の新入社員の経歴などに関する文書データを、人事担当者が読み込んだうえで、各部署の管理職とそれぞれ相談しながら配置案を作成していた。配置案作成業務の効率化を狙って、KPMGコンサルティングの協力を得ながら、「word2vec」と呼ぶ機械学習技術を基にマッチングをするシステムを開発した。

 2018年春、複数あるカンパニーへの配置が決まる前段階で、新入社員約600人分の文書データと、パワートレーンカンパニー内の約50部署に関する文書データをword2vecを使ってマッチング。適材適所の配置案のたたき台を自動作成するシステムを稼働させた。

 その結果、配置案作成業務の工数を4割近く減らせた。芳賀宏行パワートレーン統括部PT管理室グループ長は今後について、「各部署がさらに納得できる結果が出るようにマッチングの精度を高めたり、配置した社員の活躍ぶりを検証したりしたい」と意気込む。現状の2倍以上となる、対象業務の工数8割減を狙うという。

トヨタ自動車パワートレーンカンパニーの芳賀宏行パワートレーン統括部PT管理室グループ長
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 トヨタ自動車やKPMGコンサルティングへの取材後、「自然言語処理に関する機械学習の進化でここまで仕事が効率化できるようになっているのか」と感銘を受けた。

 同時に「人事業務にとどまらず、文書を人が読んで意味をつかんで進めていく業務に広く適用できそうだ」と感じた。機械学習などの技術を駆使すると、画像や音声の認識、数値データに基づく予測といったよく知られた効率化にとどまらず、「意味の判断」という人にしかできないとされていた処理も効率化できるわけだ。

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