「川又さんは、ZOZOが想定していた消費者の動きと正反対な行動を取っている典型的な顧客の1人なんじゃないの?」

 今回の記者の眼は、アパレル業界に詳しい同僚記者と筆者が雑談していた際に出てきたこの一言に端を発している。ZOZOが描いた顧客の消費行動は、同社にとって非常に都合のいい理想像にすぎない。現実は全く逆の方向に進んでいるという話だ。

 言われてみれば、確かに冒頭の指摘の通り。筆者は自分自身のことながら、大いに納得した。だが、同時に「ZOZOの見通しの甘さ」を言い表していると感じた。

 実際、ZOZOの見通しの甘さは、業績悪化という数字の変化にはっきりと表れている。同社は2019年1月31日の決算説明会で通期の業績予想を下方修正。増収増益の見通しから一転、増収減益に変更した。

 そこで筆者は、ここ1カ月ほどのZOZOでの新たな買い物体験を振り返ってみた。すると同僚記者の指摘が的を射ていることを再確認する結果になった。この場で報告したい。

 その前に1つだけ、明確にしておくべきことがある。筆者は2018年後半、ZOZO(当時の社名はスタートトゥデイ)が同年7月に新発売したPB(プライベートブランド)のビジネススーツとドレスシャツのセットを注文し、痛い目に遭った。その話を記者の眼で5回にわたって記事にしてきた。

 ZOZOは商品の受注後に品質不良が発覚し、それに伴って何度も出荷を延期してきた。筆者はZOZOの対応に翻弄され、注文から3カ月以上が過ぎた2018年10月初旬になってようやく、スーツとシャツを受け取ることができた。その顛末(てんまつ)を書き終えた段階で、筆者はひとまずZOZOから距離を置くことにした。正直、対応のひどさに懲りたからだ。

 しかし、筆者は2019年1月、約4カ月ぶりにZOZOの衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」で買い物をした。購入したのはPBでなく、出店企業(テナント)の新商品だ。その際の一連の消費行動は図らずも、ZOZOが思い描いていたであろう想定と全く異なるものだった。

迷わず10%引きの有料会員に

 2019年1月下旬、筆者はある洋服をZOZOTOWNのスマートフォンアプリから買った。商品の合計金額は、1万2960円(税込み)。送料は200円である。

筆者が2019年1月下旬に、ZOZOTOWNのスマートフォンアプリから洋服を買ったときの金額明細。明細に項目の記載がない540円は、月間プランの料金
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 スマホアプリでは該当商品の通常価格(定価)に値引きを意味する黒い線が引かれ、すぐ下に「ZOZOARIGATO(ゾゾアリガトー)メンバーは今すぐ10%OFF」と書かれている。しかも通常価格よりずっと大きな文字で「1万1664円」とある(1月時点での表示形式)。

有料の「ZOZOARIGATOメンバー」になると、通常価格の10%引きで買い物できる。通常価格よりずっと大きな文字で、値引き後の金額が表示されている
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 筆者はこれを見て「お得だな」と思った。買いたかったのは、発売されたばかりの新商品。しかも在庫が少ない限定アイテムなので、売れ残りによる値下げを待っていたら、恐らくその前に売り切れてしまう。二度と買えないかもしれない。そんな新商品がいきなり10%引きで買えるのは素直にうれしい。

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