「色は絶妙なオフホワイトだし、紙の厚みも上品過ぎるぜ。なんてことだ、透かしまで入ってるじゃないか」――。俳優のクリスチャン・ベール主演で2000年に映画化された「アメリカン・サイコ」のワンシーンに、名刺にまつわるこんなせりふが出てくる。

 米ウォール街で投資会社副社長を務める主人公が殺人を繰り返すホラー映画なのだが、 1980年代後半のいわゆる「ヤッピー」たちが箔の付くオシャレな名刺を作って互いに競い合う様子を描いていた。結局主人公は、自分より上等な名刺を見せびらかしてきた相手を妬みから殺してしまう。

 ちょうど人生初の海外出張でニューヨークに旅立つ直前だった私。バブリーな時代の米国で若者がファッション、レストラン、美容、音楽と同じように、名刺にこだわってうんちくを語りまくり、虚栄心を満たす道具に使っていた事実は衝撃的だった。

ビジネスの「宝物」、どう管理してますか

 記者という仕事柄、私はほぼ毎日のように新しい取材相手にお目にかかり、名刺交換をさせていただく。アメリカン・サイコを見て以来、企業人であれば企業カルチャーを、個人の方であればパーソナリティーを名刺から読み解くのが好きだったりする。

長年様々な手法を試した大量の名刺管理術。ようやく出会った理想的なサービスとは
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 20年以上この仕事を続けていると、昔お世話になった方がキャリアを重ねたり転職でジョブホップしたりして、引き出しの中には同一人物の違う名刺が何枚もある。古い取材の記憶を掘り起こす起点にも大切な存在であり、名刺は捨てるなんてあり得ない「宝物」だと考えている。

 そんなわけで、昔から名刺管理にはそれなりにこだわっている。名刺ファイルなどアナログ管理術の時代を経て、デジタル管理術もとっかえひっかえ試してきた。現時点でベストなメソッドだと考えているのが、対話アプリを手掛けるLINEが2018年5月に開始した名刺管理サービス「myBridge」である。スマートフォンで名刺を撮影し、中身をOCR(光学的文字認識)技術によってデータ化してくれるものだ。

 同様のサービスは幾つもある。「Eight」「Wantedly People」「CAMCARD」などで、その他のクラウドストレージがオプションとして提供しているケースもある。ほぼすべて使い倒してきたのだが、正直どれも「帯に短し襷(たすき)に長し」。長年モヤモヤを抱えてきた中で、出合ったのがmyBridgeである。LINEが名刺管理サービスを始めたことに意外な印象を持ったが、使ってみるとこれがなかなかよくできている。

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