「ソフトウエアがアジャイルかどうか、私にはどうでもいい。重要なのはビジネスに携わる人自身が、ビジネスの変更(チェンジ)を担えるかどうかだ。それができなければアジャイルではない。あえてこう言い切りたい」。

 米ビジネス・ルール・ソリューションズ(Business Rule Solutions)のロナルド・ロス(Ronald Ross)共同創業者兼プリンシパルはこう語る。ロス氏は「ビジネスルールの父」として知られ、ビジネスルールを活用したコンサルティングを長年手掛けている。

米ビジネス・ルール・ソリューションズのロナルド・ロス共同創業者兼プリンシパル
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 ロス氏はジョン・ザックマン(John Zachman)氏、ロジャー・バールトン(Roger Burlton)氏と共同で「ビジネスアジリティー・マニフェスト(以下、マニフェスト)」を2017年に公表した。ザックマン氏はEA(エンタープライズアーキテクチャー)、バールトン氏はBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)の第一人者だ。

経営執行者の観点でビジネスアジリティーの全体像を示す

 マニフェストは「ビジネスをアジャイルにする(ビジネスアジリティーを実現する)」ために何が必要かを、経営執行者の観点から示している。谷島編集委員が何回か記事で取り上げているので、ご存じの方もいるだろう。

 マニフェストはビジネスアジリティーの実践に必要な仕組みの全体像を示している。中核を成すのは「ビジネスナレッジ(Business Knowledge)」。マニフェスト日本語版は「ビジネス知識」と訳しているが、知識という言葉には独特のイメージが付いているので、ここではビジネスナレッジと呼ぶ。会社におけるビジネスの様々な決まりを表したビジネスルールや、関連する知識体系が含まれる。

 ビジネスナレッジは、その会社のビジネスに共通する概念や語彙である「コンセプトモデル(Concept Model)」に基づく。この他、顧客やステークホルダー(利害関係者)に対する義務やコミットメントを順守する仕組みとして「ビジネスインテグリティー(Business Integrity)」がある。

 企業はビジネスナレッジやコンセプトモデル、ビジネスインテグリティーを活用して、ビジネス価値を生み出すための一連の企業活動(協力会社や取引先などを含む)である「バリューチェーン(Value Chain)」を回す。新たに製品やサービスを提供する、急な顧客の要求や市場の動きに応えるといった変化には、ビジネスナレッジのレベルで素早く対応する。ビジネスインテグリティーによって、対応後も顧客やステークホルダーに対するコミットメントのレベルは保たれる。

 マニフェストが描くビジネスアジリティーの姿を筆者なりに単純化して捉えると、こんな感じになる。マニフェストの内容は全体に抽象度が高く、一読しただけではピンと来にくい。マニフェストでいったい何を目指したのか。ロス氏の言葉に耳を傾けてみよう。

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