優れたIT人材はどこにいるのか――。記者はここ最近、IT企業やネット企業、ITスタートアップ企業の人材事情に興味を持って取材している。各社の獲得競争が激化しているからだ。

 情報処理推進機構(IPA)の2017年度IT人材動向調査によれば、IT人材が「大幅に不足している」と回答した割合はIT企業もユーザー企業もともに3割と、不足感は過去最高水準にある。DX(デジタルトランスフォーメーション)のかけ声の下、今では製造や小売り、サービスといった非IT企業の間でも、優れたIT人材の獲得合戦が熱を帯びているようだ。

 続々と登場するスタートアップ企業が人材獲得競争の激化に拍車をかける。調査会社のジャパンベンチャーリサーチによれば、2018年通年のスタートアップ企業の資金調達額は4000億円に迫る見通し。2900億円余りだった2017年の水準を上回る。カネを集めて事業を広げるとなれば、人材も足りなくなろうというものだ。

 優れたIT人材を求める企業が「出会いの場」として有望視しているのが技術者同士の勉強会や技術発表会、スタートアップ企業がビジネスモデルをアピールするピッチイベントなどの交流イベントだ。スタートアップ企業などと幅広く手を組んで事業創出を目指すオープンイノベーションのブーム拡大もあり、交流イベントは活況を呈している。

 露骨に来場者に誘いをかけると嫌がられるため、こうしたイベントでは表面上、採用活動は禁止されていることが多い。とはいえ、実質的にはこれぞというIT人材に企業が目星を付ける採用の場として機能しているようだ。

 もともと交流イベントは技術者やスタートアップ企業が草の根的な活動として開くことが多かったが、最近は企業が仕掛け人になるケースが増えている。この点で記者が注目しているのが、東京・渋谷を舞台に東急グループが進めている交流会支援の活動だ。「施設の拡充による街の魅力向上と人の流れの創出に、オールインワンで取り組む」(東京急行電鉄の寄本健まちづくり推進課課長)からだ。

渋谷駅周辺完成イメージ
出所:渋谷駅前エリアマネジメント
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 渋谷駅周辺の大規模再開発をはじめ、渋谷を中心にした周辺地域も巻き込んだ一帯を「広域渋谷圏」と位置付け、商業施設の建設や街路の整備を進めている。ハコ物だけではない。ソフト面の拡充策として、企業とIT人材のマッチング機会の創出にも力を注いでいる。商業施設へのスタートアップ企業の誘致や出資、ピッチイベントや技術者交流会の開催支援などだ。

 例えば東急電鉄はスタートアップ企業との事業共創活動「東急アクセラレートプログラム」を2015年度から実施している。審査を通過したスタートアップ企業と東急グループ企業が協業したり出資したりして、事業創出を図る活動だ。現在は第4期のスタートアップ企業を選定しており、2019年3月に成果発表のイベントを開く。

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