モバイル通信(移動通信)は我々の生活に欠かせないものだが、そのシステムは一朝一夕に出来上がったわけではない。モバイル通信システムは1980年代の第1世代移動通信システム(1G)から約10年ごとに世代を重ねてきた。2019年には第5世代移動通信システム(5G)のプレサービスが始まる。これを機会に、モバイル通信システムがどのように進化してきたのか振り返ってみたい。

【第1世代】アナログと音声の時代

 1980年代の1Gは、アナログと音声の時代だ。通話音声をアナログのFM変調により電波に乗せる単純なものだった。

 国内最初のモバイル通信は「自動車電話」だった。日本電信電話公社(現NTT)は1979年12月、東京23区でサービスを開始した。端末は車載を前提としており、重量は約7キログラムもあった。

801型自動車電話
(出所:NTTドコモ)

 国内で最初に使われたモバイル通信方式は「NTT方式」と呼ばれる。特徴は「セルラー方式」を採用したこと。セルラー方式とは「小ゾーン方式」とも呼ばれ、多数の基地局を設置し、多くの無線ゾーン(セル)で広いサービスエリアをカバーする方式だ。

 セルラー方式は端末と基地局の距離が短いため、消費電力を下げ、本体を小型化・低コスト化できる。さらに同じ周波数のセルを繰り返し配置できるため、周波数の利用効率が向上するなどのメリットもある。以降のモバイル通信システムの基礎となった。

 モバイル通信で重要な要素の1つが、多元接続方式だ。これは、1つの周波数を多数のチャネルに分け、多数のユーザーに割り当てる仕組みのこと。多くのユーザーにモバイル通信サービスを提供するうえで必須の技術である。モバイル通信システムの各世代で特徴が出る部分でもある。1Gでは、ユーザーごとに異なる周波数を割り当てる「FDMA」が採用された。

3キログラムから230グラムまで軽量化

 端末の小型化は進んだ。1985年には車外に持ち出して利用できる自動車電話である「ショルダーフォン」が登場した。最初の100型ショルダーフォンは重さが約3キログラムもあり、肩にかけて使うタイプ。自動車から持ち出せるとはいえ、気軽に使えるものではなかった。1987年にはTZ-802型携帯電話が登場。約900グラムと片手で持てるぐらいの重さになった。

 1990年前後を境に、携帯電話の小型化競争に一層の拍車が掛かった。1989年にはDDIセルラーグループ(KDDIの前身の1つ)が米モトローラ(Motorola)の「マイクロタック」(重さ約300グラム)を発売。2年後の1991年にはNTTドコモ(正式な商号変更は2000年)が「ムーバ」シリーズを発売した。重さは約230グラムまで軽くなった。

ムーバP(松下通信工業製)
(出所:NTTドコモ)
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