「今の若手エンジニアはかわいそうですよね。働き方改革で成長のチャンスを奪われていて」。ベテランエンジニアに取材していると、こんなせりふを聞くことがある。引っ掛かりを覚えたものの、実際に成果を残してきたエンジニアの発言だ。筆者もそういうものかと思っていた。

 ところが、2018年12月に発行された書籍『残業学』(光文社)を読み、それは違うのではないかと考えが変わった。

 著者の1人であるパーソル総合研究所の小林祐児シンクタンク本部リサーチ部主任研究員は「残業しないと成長できないという神話があるが、長時間の残業は成長を阻害している可能性があると分かった」と話す。同社は2017年から2018年にかけて、同じく著者である立教大学経営学部の中原淳教授と共同で長時間労働に関する複数の実態調査を実施し、成果を書籍として公表した。

 書籍で引用された「働く1万人の成長実態調査 2017」によると、残業が月60時間以上の人は、実際に成長の機会を奪われていたのだ。

残業時間別の成長阻害要因
(出所:パーソル総合研究所「働く1万人の成長実態調査 2017」)
[画像のクリックで拡大表示]

 まず、勉強会やセミナーへの参加、読書、英会話教室への通学といった職場外での学習ができない。これは当たり前だろう。長時間残業をしている状況では、そもそも時間を取れない。仕事でヘトヘトになっていると、職場の外で勉強しようという気力も湧かない。

 意外だったのは「仕事を通じて身に付けるスキル」についても、長時間残業は成長を阻害している可能性が高いとデータで分かったことだ。長時間残業をしている人は、残業が少ない人に比べると「上司からのフィードバックがない」「上司や同僚からの助言が十分でない」「仕事を振り返る機会がない」と感じている割合が高かった。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が4月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら