「NECの1回の買収額としては過去最高になる。さすがに重たい決断だったが、自信を持っている」。年の瀬も押し迫った2018年12月27日、デンマーク最大手のIT企業KMDの買収を決めたNECの新野隆社長は、記者会見を終えて充実した表情を浮かべた。

デンマークKMDの買収を発表するNECの新野隆社長
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 NECによれば、米パソコン大手のパッカードベルへの段階的な投資が合計で約2000億円に上った実績があるが、1回の契約による買収額では2018年1月の英ノースゲート・パブリック・サービス(NPS)の4億7500万ポンド(発表時のレートで約713億円)がこれまでの最高だった。KMDの買収額は80億デンマーク・クローネ(同約1360億円)で、過去最高を大幅に更新した。2018年度を最終年度とする中期経営計画で示していた企業買収の投資枠2000億円を使い切った格好だ。

 「プラットフォームを活用したビジネスモデルに転換する」――。新野社長は2018年1月のNPS買収発表時に説明した狙いを、今回も繰り返した。顧客企業の要望に応じて個別にITシステムを構築する事業モデルから、産業分野ごとの業務プラットフォームやデータの管理・分析などを担うプラットフォームを多数の顧客に展開していく事業モデルに移行していく。それを成長エンジンと位置付ける海外セーフティ事業で先行させ、全社に広げていくのがNECの方針だ。

NECが海外セーフティ事業で手掛けるプラットフォーム
階層 役割 概要
共通業務プラットフォーム 水平展開できる共通業務機能 デンマークKMDの省庁向けコンテンツ統合管理や学習管理、英NPSの警察向け犯罪事案管理や公営住宅管理など
分析プラットフォーム データの解析や将来の予測 AI製品群「NEC the WISE」や生体認証製品群「Bio-IDiom」など
データプラットフォーム データの収集・統合 政府のオープンデータなどのデータそのもの、デンマークKMDのデータ管理サービスなど

 個別SI型で事業を展開するリソースが足りない海外では、プラットフォーム型への転換が不可欠だった。そのプラットフォームを拡充する手段としてNPSやKMDの買収に踏み切った。電子政府化を推進するデンマークの中央政府や地方政府に向けたKMDのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のプラットフォームを、北欧諸国をはじめとする欧州や世界の国々に展開できると見込む。

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