テスト設計フェーズまででテストケースが出来上がった。この先はテスト実行となるが、いきなりシステムを操作してテストケースの消化を始めるのはアンチパターンだ。テスト実行者が何から始めればよいのか迷ったり、テスト実行の作業中に深刻なトラブルが発生したりする。テスト実行を始める前に、テスト実行に必要な事項の洗い出し、実行順序やスケジュールの決定といった「テスト実行準備」が必要だ。あるSIベンダーの若手社員「ワカテくん」が先輩からのアドバイスをもらっている。

ワカテ:テスト計画書とテスト設計書も作成できたので、あとはテスト実行をするだけですね。

センパイ:ちょっと待って。テスト実行を始める前には、実はやっておくべきことがあるよ。

ワカテ: テスト実行の前にですか?どんな作業でしょうか?

センパイ:テスト設計書があっても、テストケースの実行順番などの実行スケジュール決めや、テスト環境やツールの設定、テストをするために必要なデータの準備をしておかないとテスト実行を始められないよ。

 テスト実行を「作成したテストケースをただ消化すればいい」と考えている開発者やテスト担当者は多い。こうした人がテスト実行の開始時に陥りがちなわながある。テスト実行の開始日になってテストケースを上から順に消化しようと思い込んでしまうことだ。こうした進め方をすると、テスト実行者は何から始めればいいのか分からずに途方に暮れてしまう。テスト実行には必要な準備作業の把握や洗い出しを実施する「テスト実行準備」が欠かせない。

テストプロセスの全体像
テスト実行フェーズの最初に「テスト実行準備」を実施する
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 テスト実行準備が不十分だと、前述したような途方に暮れる事態になりがちである。仮にそこで困らなくても、テスト実行に着手してからテストデータの準備に想定以上に時間がかかったり、テストに使用するモバイル端末などを使用できなかったり、さらには不適切な環境でテストを実行してやり直しになったりといった問題に直面する。問題対処で時間を食いつぶしたために、テスト完了予定日にテストが終わらず、予定日にリリースが間に合わないといった深刻な問題に発展する場合もある。

 ここでは、テスト実行準備で押さえておくべきポイントを解説しよう。テスト実行準備はテスト実行フェーズの最初に実施する。テスト実行準備は次の6つの作業に分類できる。なお、以下の番号は検討すべき順序を示すものではない。プロジェクトの状況によっては前後することもある。

  • (1)プロジェクト全体のスケジュールを確認する
  • (2)テスト実行に必要な作業を洗い出す
  • (3)制約事項を洗い出す
  • (4)作業工数を見積もる
  • (5)テスト実行の順番を決定する
  • (6)テスト実行スケジュールを作成する

 今回はテスト実行準備のアウトプットを作成する前提となる(1)~(4)について説明する。

(1)プロジェクト全体のスケジュールを確認する

 まずは、最新のテストスケジュールを確認する。開発の遅延や、プロジェクト全体のスケジュールの変更などにより、プロジェクト開始時に予定していた開発完了予定日やテスト期間、リリース日などが変わっていることもあるからだ。

 特に多いのが、開発の遅延によるテスト期間の短縮だ。短縮された期間内にテストを完了させるには、人員を追加する、優先度の低いテストを実行対象から外すといった判断が必要になる場合がある。

 最新のスケジュールを把握しないままテスト実行を開始すると、テスト完了予定日までに必要なテスト実行を完了できないといった事態に陥りがちだ。そのような事態を避けるため、テスト実行の前にプロジェクト全体のスケジュールを再確認することは怠らないようにする。

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