ソフトウエアテストでは、計画、設計、実行といった主要な3つのプロセスと並行して「テスト管理」を進める必要がある。テスト管理の最後に実施するのが「テストの終了報告」だ。テスト管理者にとって最後の大仕事である。

ワカテ:ふう、「テスト実行」のフェーズが何とか終わりました。

センパイ:あとは「テストの終了報告」だ。それが終われば、全ての作業が完了だよ。

ワカテ:えっ。テストが終わってもまだ作業があるのですか?

センパイ:そうだよ。終了報告がちゃんとしていないと、次のプロジェクトで苦労するよ。

ワカテ:今回のテストがうまくいっただけでは駄目なんですね。

センパイ:そうだよ。次のプロジェクトで困らないためのテストの終了報告について説明していこうか。

 今回は、「テスト管理プロセス」の最後に行う「テストの終了報告」について説明する。「テストの終了報告」は「テスト実行」のフェーズが終了した後に実施する。テストの全工程で最後のプロセスである。

テストプロセスの全体像
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 テストの終了報告での成果物は「テスト終了報告書」だ。この報告書をきちんとまとめておかないと、次に生かせない。出来の良い終了方報告は、その後の追加開発はもちろん、新たな別プロジェクトの品質を向上させることにつながる。その意味で、テストの終了報告は重要なプロセスである。

 テスト終了報告書に記載する内容は、大きく分けて3つある。「テスト実行の結果」「不具合の改修状況」「今後の改善案」だ。この中で最も重要なのが、「今後の改善案」である。改善案の策定は、テスト管理者にとって最後の大仕事と言ってよい。以下では、今後の改善案の策定の仕方を中心に、テストの終了報告のまとめ方を順に説明する。

テスト終了報告の心得
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 テスト終了報告書に記載する1つ目の項目が「テスト実行の結果」である。ここで気を付けるべきポイントは、全てのテストケースの結果を記載しているかどうかだ。テスト実行の段階で新たに追加されたテストケースが抜け落ちる場合がある。そうならないよう確認する。併せて、テストが「未実行」のままのテストケースが存在していないかも調べる。

 テスト実行結果が「NG」になっている不具合については、修正済みであるのか、未修正なのかを調査する。修正していない項目があれば「次の追加開発で対応する」といった対応予定まで確認する。

 また、テスト実行結果が「対象外」と記載されていた場合には、なぜそうなったかが分からなくならないよう、テスト実行中からテストケースに理由を明記しておくことを意識してほしい。プロジェクトチームが解散した後にその理由を探し出すのは、苦労する場合があるからだ。

 記載すべき2つ目の項目は「不具合の改修状況」である。「不具合の改修によって変更になった操作」「画面の変更」などを漏れなく記載する。これらの情報を、カスタマーサポートやマニュアルの作成者など、テスト後の工程に関係する全てのメンバーに共有しなければならない。テスト管理者は、関係各所に対する情報共有が徹底されていることを確認し、プロジェクトマネジャーに報告する。こうした作業が、リリース後のトラブルを避けることにつながる。

 実は、不具合の改修状況が関係各所に通知されていないために、未然に防げたはずのトラブルが発生することは多い。プロジェクトマネジャーの判断で、テスト実行のフェーズで仕様を変更したり、リスクが低い不具合を意図的に残した状態でリリースしたりすることがあるからだ。

 仕様変更をマニュアル作成者に知らせていなければ、誤ったマニュアルができてしまう。また、意図的に残した不具合が周知されておらず、ユーザーからの問い合わせが何度も発生するといった話もよく聞く。こうしたトラブルを防ぐために、テスト管理者が情報を集約し、テスト終了報告書に記載することが重要である。

 記載すべき項目の3つ目が「今後の改善案」だ。今後の改善案を策定するために必要になるのが、「テスト実行」フェーズの出来事を思い出して評価する「振り返り」の作業である。振り返りには、テストを実行したメンバーだけではなく、開発者や設計者など、異なる立場や視点でプロジェクトに関係するメンバーに参加してもらう。テスト管理者はそれぞれのメンバーから必要な情報を吸い上げる。

 振り返りの大まかな手順は、(1)(テスト実行期間中の)問題点・評価点を洗い出す、(2)問題点・評価点を分類・分析する 、(3)解決策を考える、である。以降は、この順に振り返りの仕方について説明する。

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