米アップル(Apple)がiPhoneの旧機種の動作速度を意図的に落としていたとされる「iPhoneの速度抑制問題」。バッテリー劣化によるiPhoneの予期しないシャットダウンの頻発を防ぐのが狙いとされている。この問題に対してどう考えるべきなのか。あるいはアップル製品にからむトラブルにどう対処したのか。識者に語ってもらった。

 筆者は、既に「米国発! Appleニュースの読み解き方」のコラムで、アップルの「対話不足」を指摘した。

 アップルは今回の問題について、次のように説明している。

 iPhoneのバッテリーが劣化した状態でプロセッサーが最大パフォーマンスに必要な電力を使おうとすると、シャットダウンなどを引き起こし、ユーザー体験が損なわれる。このため、パフォーマンスを制限する仕組みをiOSに搭載した──というものだ。

 現行の技術においてバッテリー劣化は必ず起こり得ることであり、筆者はユーザー体験が著しく損なわれる状況も経験済みだ。別件の「通知バグ」が原因で手元のiPhoneが頻繁に再起動する事態に遭った。iOSに機能制限を設ける措置とその理由については、納得に足る理由があった。

 しかし、問題は「アップルがそのことをユーザーに通知してこなかった」ことだ。iOSにパフォーマンス制限の機能を搭載して1年近くの間、ユーザーに公表しなかった。結果として、ユーザーが本来得られるべき性能が知らないうちに制限されてきたことになる。

 米国では、米インテルや英アームなどのプロセッサーで発生する「Spectre」と「Meltdown」の脆弱性問題も大きな注目を集めている。同問題への対処がパフォーマンス低下を招くことが判明し、集団訴訟にさらされている。

 こちらもパフォーマンス低下とセキュリティをてんびんにかけることになり、どちらかしか選択できない状況を生み出している。

アップルの対策はまだ進行中

 アップルはバッテリー劣化によるプロセッサーの性能制限について影響は軽微であり、バッテリー交換で制限がなくなるとしている。バッテリー交換の費用も大幅に値引きすることを打ち出した。

 さらに今春に配信するとみられる「iOS 11.3」では、バッテリーの健康状態を知らせ、交換が必要な場合は通知する機能を加える。

 加えて、iPhoneのシャットダウンを避けるための電源管理(パフォーマンス制限)機能のオン・オフを、ユーザーが任意で切り替えられるようになる。これらの機能を搭載したiOS 11.3は現在、ベータ版の配信が始まった。

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