「彼らはトナカイを使って2週間ごとに移動を繰り返す。居場所を特定するのは困難だ。先進国が採用している既存の住所の概念は限界を迎えつつある」――。

図1 トナカイで2週間ごとに移動するモンゴルの遊牧民(出所:what3words)
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 こう語るのは、英スタートアップのワットスリーワーズ(what3words)でCMO(最高マーケティング責任者)を務めるジャイルズ・リース・ジョーンズ(Giles Rhys Jones)氏である。

 Jones氏の言う“彼ら”とは、モンゴルの遊牧民を指す(図1)。遊牧民の居場所を特定する目的は「民泊」にある。what3wordsは2018年11月に民泊大手の米エアビーアンドビー(Airbnb)と提携した。これで、旅行者が遊牧民の家屋(ゲルやテントなど)に宿泊するハードルがぐっと下がった。

 what3wordsが開発したのは、全世界を57兆個の正方形に分割し、3つの単語でその住所を表すシステムである。3×3mの正方形ごとに固有の3つの単語の組み合わせによるアドレスを割り当てる。3単語の組み合わせはランダムで意味はない。例えば、「えんだて・まけない・おどりこ」はモンゴル・フブスグル県(Khuvsgul)の一角である(図2)。

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図2 「えんだて・まけない・おどりこ」の住所が割り振られたモンゴル・フブスグル県(Khuvsgul)の一角(出所:what3words)

 同社が「3ワードアドレス」と呼ぶこのシステムの用途は民泊にとどまらない。モンゴルやジブチ、トンガといった国の郵便サービスや、フィンランドの国土調査、南アフリカの農村開発・土地改革省のプログラムなどで広く採用実績がある。

 今後の利用先として注目されているのが、自動車や配送、モビリティーサービスの分野だ。新興国、先進国を問わず、正確な住所を指定したい用途は多い。what3wordsのJones氏に開発動向や今後の展開を聞いた。

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