徹底したコスト削減と、光回線の卸提供(光コラボ)への転換により、好調のNTT東日本。営業利益は過去最高益を4期連続で更新中だが、売上高は7期連続の減収。音声系の収入減をIP系の収入増でカバーできない状況が続く。同社の井上福造社長に今後の戦略を聞いた。(聞き手は榊原 康=日経 xTECH)

2018年6月の社長就任会見では、長らく続く減収傾向に歯止めをかけ、数年後に増収に転換させると宣言した。

 現状の計画では2023年度に増収に転換できる見通しだ。光回線の純増を一定程度キープしながら付加価値の高いパッケージやワンストップ保守で業績を伸ばしていく。ハイブリッドクラウドを中心に受託サービスも強化する。付加価値系や保守、データセンターなどの売上高は現在800億円程度だが、5年後に2倍に拡大させる。

井上 福造(いのうえ・ふくぞう)氏
1955年生まれ。兵庫県出身。1980年に東京大学法学部を卒業し、日本電信電話公社(現NTT)に入社。2009年にNTT東日本の取締役コンシューマ事業推進本部ブロードバンドサービス部長。2012年に取締役経営企画部長、2014年に常務取締役ビジネス開発本部長、2016年に代表取締役副社長ビジネス開発本部長などを経て2018年6月より現職(写真:新関 雅士)
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増収に向けた取り組みをもう少し具体的に知りたい。

 付加価値系は、スマート農業やスマート工場、スマートロジスティクスなど様々な取り組みを進めている。2018年6月に始めたAIカメラによる小売店向け万引き防止サービス「AIガードマン」は既に30社ほど成約した。同サービスでは光回線だけでなく、Wi-FiやAIカメラを店舗ごとに配備し、クラウドも活用するので、受注単価はそれなりに大きくなる。

 規模に関係なくどの企業も人手不足が深刻となっているため、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)関連は引き合いが強い。RPAは「WinActor」を取り扱っており、OCRで読み取ったデータを自動処理できるようにするパッケージも2019年1月に投入する予定だ。OCRの識字率は90%を超えるレベルを実現できているため、競争力は高いと自信を持っている。

保守ビジネスはどう強化していくのか。

 当社の強みやブランド力を最も生かせるのがサポートや保守と考えている。他社の機器や回線の保守もワンストップで受け付ける「ダイヤモンドサポート」の提供を2018年10月に始めた。現在は個別受託契約となっているが、2019年の早いうちに中小企業でも利用しやすいようにパッケージサービス化したい。

 人手不足はネットワーク技術者も同じ。どの企業もネットワークの構築・保守がきつくなってきており、アウトソースするケースが増えている。我々が、そこを一手に引き受ける展開が見えてきた。今後、多くの企業はデジタル化やクラウド化を通じてコアコンピタンスが変わっていくと思う。通信業界も例外ではなく、他社の通信設備の構築・保守を我々が担う展開も十分に考えられる。そのための人材を多く抱えていることが大きな強みになるかもしれない。

2018年6月に東京都内に設置したパートナー企業との共同実証環境「スマートイノベーションラボ」の手応えは。

 まだ始まったばかりで成果はこれからになるが、同じスキームを東日本全域に拡大していきたい。実は地方のほうが課題が多く、人手不足も深刻。産官学連携の取り組みも進めやすい。すでに話を始めており、まずは札幌と仙台を考えている。

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