2019年3月29日のブレグジット(英国のEU離脱)まで残り約4カ月。英国と地続きで国境を接する唯一の国として、アイルランドが注目を集めている。ブレグジットによってアイルランドは、マイナスの影響を受ける可能性がある。もし貿易に関して障壁ができると、英国に食料などを輸出しているアイルランドにとっては大きな打撃となる。こうしたピンチをチャンスに変えるために、アイルランド政府は外国企業の誘致を増やそうと、進出先としての優位性のアピールに積極的だ。
 かつては製造拠点として経済成長を遂げたアイルランドだが、近年は、IT(情報技術)など先端技術の研究開発やサービスの拠点として外国企業の誘致に力を入れている。その結果、GAFAもアイルランドに注目。米グーグル、米アップル、米フェイスブックは既にアイルランドに拠点を持っており、米アマゾン・ドット・コムも進出を発表した。
 先端技術を成長戦略の重要な柱と位置付けるアイルランドの2人のキーパーソンにインタビューした。前編の今回は、外国企業の誘致を担当するアイルランド政府産業開発庁(IDA) テクノロジー、コンシューマー、ビジネス・サービス部門代表のレオ・クランシー氏に、アイルランドへ進出することのメリットや、今後の企業誘致戦略について聞いた。

レオ・クランシー(Leo Clancy)氏。外国直接投資を推進するアイルランド政府産業開発庁(IDA)のテクノロジー、コンシューマー、ビジネス・サービス部門のトップを務める。2013年5月にIDAに入庁。その前の17年間は電気通信業界において、さまざまなエンジニアリングやマネジメントの役職を歴任。IDAの入庁直前には、アイルランドの地域ファイバー・ネットワーク・プロバイダーのe/net社で技術部門を統括。また、13年間にわたりエリクソンに勤務し、主にグローバル・サービス部門で最先端モバイル・ネットワークの展開に従事した。電気/電子工学の学位を取得、エレクトロ二クス・電気通信コースを修了している。
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 ブレグジットによって、アイルランド注1)への投資が増えている。アイルランド政府産業開発庁(IDA)のレオ・クランシー氏によると、「ブレグジットが最初に発表されてから、ブレグジットの影響によって、新たに40件のアイルランドへの投資があった」と言う。これからアイルランドへ進出しようという企業も、まだ英国にしか欧州の拠点を持っていない企業を中心に増えている。「今後ブレグジットの交渉が固まったら、外国企業による投資がアイルランドにますます流れてくる」と、クランシー氏はみる。

注1)アイルランドは、欧州で1、2の高い経済成長率を誇る国でもある。2016~2018年のアイルランドの経済成長率は、EU(欧州連合)の2倍以上と高い外務省のウェブサイトによると、2016~2018年のアイルランドの経済成長率は5.2%(16年)、7.8%(17年)、4.5%(18年、見通し)で推移している。一方、EUの経済成長率は1.9%(16年)、2.4%(17年)、2.1%(18年、見通し)である。

 英語を話し、コモンロー(慣用法)を採用するなど、英国や米国との共通点が多く、外国企業の誘致に有利な面を持つアイルランド。同国が、外国企業のさらなる投資を促進するために重点を置いているのが人材や教育である。企業が求める高度なスキルを持つ人材の育成に力を入れている。

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