日本電産を一代でプレハブ小屋の工場からグローバル企業に育て上げ、カリスマ経営者とも言われる同社 代表取締役会長の永守重信氏。その永守氏が持つ、もう一つの肩書が「永守学園 京都先端科学大学 理事長」。永守氏は2018年3月に京都学園大学を運営する京都学園(現・永守学園)の理事長に就任し、それと入れ替わる形で2018年6月に日本電産の社長職を離れた。名称を京都先端科学大学に変更し、100億円以上の私財を投じて大学改革を進める。2019年度の国立大学運営費交付金は86大学で1兆971億円であり、「100億円」という金額の大きさは目を引くものがある。なぜ今大学なのか−−永守氏に聞いた。(聞き手=日経 xTECH 編集長 大石 基之)

(インタビュー第2回はこちら

なぜ、私財をなげうって「大学」なのでしょうか?

 今まで、私は企業の経営者として採用側にいました。日本電産でも、創業してから7500人ぐらいの大学卒業者を採用してきましたが、この“大学卒業者”に疑問を感じたんです。

日本電産 代表取締役会長および永守学園 京都先端科学大学 理事長の永守重信氏
(撮影:大亀 京助)
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 まず、何も知らない。例えば、経済学部を卒業しているのに決算書が読めない。中には簿記も分からないという人もいる。経営学部を卒業していても、経営の「ケ」も分からない。さらに英語は話せない。東京大学、京都大学を出ていてもTOEICが300点、400点という人もいる。

 もっと強調したいのは、常識を知らないということ。上座・下座に始まり、マナーが全然分かっていない。雑談力もない。海外に行くと言われるんですよ、「日本人と一緒に食事するのは嫌だ。ガツガツ食べるだけで、話もしないから」と。それは英会話ができないということに加えて、ジョークを言ったりするスキルがないということです。日本では国会からして全部原稿を読んでいる。そうでしょう?そういった教育しか受けていないわけです。

 そこで「一流大学と三流大学はどう違うのか」と考えてみました。そしてデータを何十年も取ってみたんです。そして出た最後の結論は「何も変わらない」ということ。もちろん東大・京大で抜群に優秀という人材はいるでしょう。でも、平均値は一流も三流も五流も変わらない。結局、今の大学進学教育が間違っている、暗記とテクニックしかやっていない、偏差値とブランド主義に凝り固まり過ぎているという考えに至りました。

 総合的に見れば、「玉露のカスより番茶の上」。これが結論です。偏差値教育とブランド教育が間違っているということですよ。だからそれを打破しようと考えました。ただし一から大学を作ろうとすると参入障壁が高く、10年くらいかかってしまう。するとたまたま、前任の理事長から「この先の少子化を見据えると、このままの延長線上に明るい将来はない。永守さんが来て、新しい将来性のある大学にしてくれないか」と打診され、それならば私が協力しようということになりました。学部も充実させて、工学部も2020年4月に新設予定です。

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