三菱自動車が「世界戦略車」と位置付けて開発した小型SUV(多目的スポーツ車)が「エクリプスクロス」だ。軽自動車を除くと、約6年振りの新型車になる。100カ国近い市場での投入を目標に開発を急ぐ中、発売まで約1年というタイミングでまさかの事態が起こった。

 2016年4月に発覚した会社レベルの燃費不正だ。開発責任者を務めた山内裕司は想定外の難局に直面していた。意図的に燃費を低く見せるためデータを改ざんするなど、悪質な不正行為が発覚した同社に対して報道は過熱し、世間からも猛バッシングを受けていた。

山内裕司氏
三菱自動車プログラム・ダイレクター(C&D-seg)。(写真:加藤康)
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 あの時が一番つらかったですね。経営からは「このまま開発を続けても大丈夫なんだろうな」と言われるし、開発を進めているチームのメンバーからは「自分たちの仕事がいつかなくなるかもしれない。このまま進めていいのでしょうか」と不安が広がっていた。

 当然、開発はいったんストップ。不正が明らかになってすぐ、開発部門のトップから「総ざらいせよ」との指示が出ました。実質2日か3日くらい。実際に開発部門が止まったのはそんなに長くはありませんでした。

 それでも、開発メンバーのモチベーションはどんどん落ちていくし、不安も大きくなっていく。私自身もそうだったが、「この会社どうなっちゃうんだろう」と思いましたね。特に心配だったのは若手。中には会社を辞めていくメンバーもいました。

 不安が覆いつくす開発陣。このままではチームは空中分解する。ここで山内は、自らが信念とする行動に出る。

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