携帯電話事業者から生活に密着したサービスの提供者へ――。NTTドコモが事業変革を急いでいる。改革の柱はポイント事業の強化だ。パートナー企業を拡大させてポイント会員を増やす。楽天にGAFAと未知のライバルが待ち受ける同社を舵取りする吉沢和弘社長に、次の一手を聞いた。

(聞き手は玉置 亮太=日経コンピュータ、編集は田中 陽菜=日経コンピュータ)


社長に就任してから2年。これまでの総括と、2018年度あるいは次の5年の戦略を展望していただけますか。

 現時点は本当にまだ走り出したばかりで、やっと周りが見え始めたぐらいかなという感じです。就任して1年はばたばたしていたのですが、1年目の後半に当たる2017年4月末に、中期戦略「beyond宣言」を掲げました。ドコモが何をやるのかを明確にしたつもりです。

吉沢社長はデータ資源の充実度が競争力を左右すると強調する
(写真:村田 和聡、以下同)
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 beyond宣言で重視しているのがパートナー企業との連携強化です。農業や医療、IoT(インターネット・オブ・シングズ)などの分野で様々な「協創(価値のある事業の共同開発)」に取り組んでいます。

 会員基盤の強化にも力を入れたいと思っています。顧客を携帯電話の回線契約者とだけ捉えるのではなく、当社やパートナー企業を通じて提供する様々なサービスを使っていただく会員と捉えて数を増やしたい。2018年度は特に力を入れていきます。

 そこで重要と考えているのが会員1人ひとりに合わせたサービスを提供するパーソナライズです。事業の中核である通信サービスはもちろん、当社がプラットフォームとなって提供するパートナー企業のサービスを充実させるためには、会員1人ひとりを深く理解する必要があります。

 今まで個人の顧客は携帯電話回線の契約者が中心でした。これからは携帯電話回線の契約者でなくても、「dマーケット」や「dポイント」などドコモのサービス利用者に便利な情報、お得な情報を届けられるようにしていきたい。そのために顧客1人ひとりを理解することは不可欠です。様々なデータを集めてワン・トゥ・ワン・マーケティングに活用していきます。

ICT企業をはじめ様々な企業がパーソナライズを重点課題に挙げています。NTTドコモの強みは何でしょう。

 幅広いパートナーシップだと考えています。当社の携帯回線契約や6600万人のポイント会員など、ドコモだけで集められるデータはかなりありますが、それだけでは足りません。だからこそいろいろなところと提携しています。ポイントでいえばローソンやマクドナルド、マツモトキヨシなどと提携しています。提携先の企業も顧客を持っていて、それぞれに購買行動データを活用しています。

 ドコモはそうした購買行動のデータを持っていない代わりに、携帯電話利用者の位置データが強みです。私たちが持つデータの強みを生かせるパートナーと組んで、会員にどんどん使ってもらえるプラットフォームを作り上げます。

セブン&アイグループの「nanacoポイント」と連携したり相乗りしたりする可能性はいかがですか。

 できるだけ広くいろいろなことをやっていこうと思っていますから、いろいろなお声掛けをさせていただいています。ただ、そうは言いながら皆さんいろいろお考えがあるので、そう簡単にいかないんですが。

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