海外メーカーの対応に危惧

太陽光発電の目標である64GWも、すでに達成が見えており、経済産業省は、「ミックス目標はキャップではない」として、競争力のある再エネ電源が目標を越えて普及することは否定していません。

荒川 それも承知していますが、再エネに限らずエネルギーに関しては、系統問題も含め国の政策による影響が大きいことは否定できません。ミックス目標がわずか10GWという数値を見ると、国内の企業経営者は、委縮してしまいます。

 今のミックス目標のなかで最も達成が難しいのが、原子力の20%です。風力の比率を10%まで高めることで、原子力の減少分を同じゼロエミッション電源である風力で補えれば温暖化対策上もメリットがあります。

このままでは、日本の洋上で回る風車は、すべて海外製になりそうです。外国メーカー製の風車が、台風の多い日本の海で耐えられますか。

荒川 欧州製風車の設計に関しては、IEC(国際電気標準会議)基準の策定時に日本の台風を想定したデータを含めて検討しているので心配していません。

 ただ、機械は長く使えば必ず故障するものです。海外風車メーカーは、陸上風車でさえ、対応が遅く、国内の発電事業者は稼働率低下に苦労してきました。まして、洋上になった時、果たしてどこまで迅速に対応してくれるのか、やや気がかりな点です。

 日本の風力発電の研究者として、日本の海域で国内製風車が1基も回らないのは、たいへんに寂しいことです。

 三菱重工業とデンマーク・ヴェスタスとの合弁であるMHIヴェスタスの風車は、現在、すべて海外生産ですし、日立製作所の輸入するドイツ・エネルコンは、洋上向け製品を開発する予定はないと聞いています。

 これら日本企業は、高い技術力を持っているのですから、日欧連合で洋上向け風車を共同開発し、日本に風車工場を建設して組み立てるような動きになるのが理想です。そのためには、風力のミックス目標を数倍に引き上げ、国内に風力市場を作ることが大前提になります。

荒川忠一東京大学名誉教授
(出所:日経BP)
出典:メガソーラービジネス、2019年8月15日
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