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 米トランプ政権は2018年8月2日、自動車の燃費規制を緩和する具体案を発表した。日系自動車メーカーにとって米国は主力市場。オバマ前政権が決めた方針からの転換が実現すると、自動車開発への影響は大きい。自動車アナリストである杉本浩一氏(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に、今後の見通しを聞いた。

米政府が決められる燃費規制を緩和することに加えて、カリフォルニア州独自のZEV(Zero Emission)規制の撤廃を提案した。2021年モデル(2020年発売)の車両から適用する。

FCAのピックアップトラック「RAM 1500」。全長5814mmの大型車で、48V対応のモーターを搭載する簡易HEV。ガソリンエンジンは排気量3.6LでV型6気筒と、同5.7LでV型8気筒を用意。2018年に発売した。

 ハイブリッド車(HEV)を中心とした電動車両は米国で普及せず、「死ぬ」だろう。電動車両の終わりの始まりだ。米国にとどまらず、世界で盛り上がる「EV(電気自動車)バブル」も弾けるかもしれない。

 衝撃的なのが、米運輸省(DOT)と環境保護庁(EPA)が試算するHEV(簡易式含む)の普及率の試算だ。オバマ前政権時に決めた燃費規制の強化を続けると2030年に56%に達するところ、今回の規制緩和で3%にとどまると見通した。事実上、政府が電動車両の普及を阻む法案を作った形である。

 ただし、まだ提案段階で最終決定ではない。米政府は今冬の決定を目指すが、反発するカリフォルニア州などが提訴した。最悪なのは、決められないままずるずると時間が経ち、2020年直前に決まることだ。メーカーは右往左往することになる。

 技術開発面で最も影響を受けるのは、48V対応の小出力モーターを使った簡易HEVではないか。もともと燃費規制対策の側面が強かった技術だ。ピックアップトラックなどの大型車で採用が広がる兆しがあったが、必要性が下がる。48V関連部品を開発している部品メーカーにとって、戦略面で影響が大きいかもしれない。