ヤマハ発動機のロボットシステム「Advanced Robotics Automation Platform」を開発した村松啓且氏(同社先進技術本部研究開発統括部長)は、米アップル(Apple)、とりわけ同社共同創業者の故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏と「iPhone」に多くの刺激を受けたと語る。「こういうのがあったらいいね」というユーザー視点の発想が、ロボットシステムの開発に生かされた。(聞き手は高野 敦=日経 xTECH/日経エレクトロニクス)

Advanced Robotics Automation Platformはスマートフォンみたいなものというお話もありましたが、実際のスマートフォンからインスピレーションを受けたのでしょうか。

村松啓且(むらまつ・ひろかつ)
ヤマハ発動機 先進技術本部研究開発統括部長。2014年、同社 ビークル&ソリューション事業本部IM事業部ロボットビジネス部長。2017年7月、同事業部FA統括部長。2018年1月より現職。(写真:加藤 康)

村松 ヒントはもらいました。私は、アップルにはいろいろな刺激を受けました。ビジネス的な側面、商品そのもの、デザイン、それからマーケティングもそうです。Webサイトの作り方、商品の見せ方、語り方…。スティーブ・ジョブズ氏に感銘を受けたというのもあるかもしれません。

 ジョブズ氏は、ユーザーの視点で勝手に理想を語っているけど、それがいいんです。結局、それが現実になるわけなので。

 よくiPhoneに対して、「自分たちも同じようなことを考えていた」というような記事を見かけます。でも、実際にやったのと、思っただけでやらなかったのでは、雲泥の差があると思っています。

 マルチタッチも、当時の静電容量式のタッチパネルでは技術的に難しいと言われていたはずです。だけど、それもジョブズ氏だと思うのですが、こうしたいというイメージがあったから実現できたのではないかと。

マルチタッチで操作するイメージが。

村松 そうです。そのイメージがあったからこそ、どう実現するかというブレークダウンができたのだと思います。普通は、逆の発想になりがちです。こういう技術があるから、こういう商品ができるという方向で考えてしまうわけです。私自身も若い頃はそうでした。自分はこれができるから、こういった商品を作ろうと。でも、それだと大抵うまくいきません。

 やっぱり経験を重ねるごとに、ユーザーの視点で「こういうのがあったらいいね」という発想で考えられるようになりました。最初は、どう実現するかについては多少あいまいでも構いません。まずこうしたいという理想形があり、それを確実に落とし込んでいく。そうすれば、ユーザーに受け入れられる商品としてちゃんと売れるんだなと、10年ぐらい前に明確に気が付きました。

最初のイメージから最終的な商品になるまでずれることがないというのは、ユーザーの視点で考えているからでしょうか。

村松 そうです。いわゆるマーケットインです。世の中の商品は、意外とプロダクトアウト的に作られているものが多い気がしています。ある意味で勘違いしていて、「我々はこれが強いから、その強みを生かしてこういう商品を作ろう」と。

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