身体に装着して重量物の積み下ろし作業などを助けるアシストスーツ。医療機関向けのリハビリ用途で一定の成果は出ているものの、工場や物流倉庫などの現場に本格的に導入された例はまだ少ない中、採用が相次いでいる製品が現れた。松下電器産業(現パナソニック)の社内ベンチャー出身のATOUN(旧アクティブリンク)が普及モデルと位置付けたアシストスーツ「ATOUN MODEL Y」である。2019年2月には、日本航空の関連会社であるJALグランドサービスが空港の手荷物の積み下ろし作業の現場に導入を発表した。ATOUN代表取締役社長の藤本弘道氏に、業界の動向や、同社の戦略について聞いた。(聞き手は松元 則雄=日経 xTECH/日経エレクトロニクス)

アシストスーツは、近年新しく登場した工場などで人と同じ空間で作業できる「協働ロボット」と比べると普及に時間がかかっている印象だ。

 アシストスーツの普及に時間がかかっている理由は、工場などのビジネスシーンでは、ゼロから市場を作る必要があるからです。ニーズが潜在的であり、新たな価値の提案から始めなければいけません。この状態から市場を立ち上げるには時間が必要です。一方で、工場などで人と同じ空間で作業できる協働ロボットには明確な需要がありました。産業用ロボットではこれまで自動化できなかった工場の作業の自動化です。

 もう1つは、アシストスーツ導入のために企業が用意できる原資が少ないという問題です。我々のお客さんは規模が小さい企業が多い。大企業であればできる投資も、小さな企業では難しい。導入に数千万~数億円必要な産業用ロボットほどではありませんが、従来のアシストスーツの導入には1台数百万円かかっていました。そして導入した際の費用対効果も分かりにくかった。

JALグランドサービスの発表会で登壇したATOUN代表取締役社長の藤本弘道氏
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