パナソニックの社内カンパニーでBtoB事業を手がけるコネクティッドソリューションズ(CNS)社。製品の販売からソリューション提供へ、ビジネスモデルを大きく変えようとしている。そんな中、同社の樋口泰行社長から請われ、2018年12月にCNS社に入社したのが榊原洋常務CDO/CIOだ。ボストン・コンサルティング・グループやアップルジャパン、米マイクロソフト、ベネッセホールディングスで事業変革を進めてきた経験を買われ、CNS社のデジタル化を推進する。


CDO(最高デジタル責任者)とCIO(最高情報責任者)を兼務しています。どのように社内の業務改革と顧客サービスのデジタル化を進めていきますか。

 CNS社の場合、社内向けと社外向け(製品・サービス)のデジタル化は根本的に同じことです。社内のオフィスや工場でデジタル技術を駆使して、業務プロセスを改革する。その中で成果が出たものを、新サービスとしてお客様に提案していきます。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社 常務 CDO/CIO 榊原 洋 氏
1994年に東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループに入社。1996年にアップルジャパンに転職し、製品マーケティングやサポート事業の改革に従事。2002年に米国ハーバード・ビジネス・スクール(MBA)へ留学。卒業後、2004年に米マイクロソフトに入社。Windowsのグローバル製品戦略や製品企画を担当する。2012年に日本マイクロソフトに移籍後、社長補佐や営業本部長を歴任。2015年にはベネッセホールディングスに転じてデジタル事業を統括する。2018年12月にパナソニック コネクティッドソリューションズ社に移り、現職

 社内の業務改革から新サービスの提案までの一連の流れをスピード感を持って進めていきます。それが私のミッションです。現在、私の役割は大きく3つあります。情報システム部門の統括、デジタルトランスフォーメーションの推進、企業文化の変革です。これらを同時に実行していきます。

社内変革は何から手を着けますか。

 既に始めているところでは、工場のデジタル化です。これまでアナログで進めていたカイゼン活動に、センサーデータなどを活用し始めています。工程間のスループットや人の動線、どの作業に何人が何時間費やしているのか、品質の問題などが、全てデータで把握できるようになってきました。データを元に作業の進め方を変えつつあります。

 こうしたデジタル技術を活用したカイゼン活動のノウハウを汎用化することで、お客様への提案につなげていきます。

デジタル化によるカイゼン活動に現場は前向きですか。

 はい。非常に前向きで、前のめりと言っていいほどです。

 自分たちがこれまでアナログでやって来たことが、データ化される。しかも、そのノウハウがお客様の役に立つかもしれない。とてもモチベーションが高まっていると感じています。

 パナソニックに入社してみて分かったことですが、当社の従業員は「社会に貢献することを進んでやる」という意識が非常に強い。恐らく、創業者である松下幸之助の精神が今も現場に息づいているのだと思います。お客様のため、社会のためであれば、積極的に取り組む従業員が多い。なので社内変革はやりやすいと感じています。

社内での業務改革のノウハウを元に、どうやって新しいサービスを作るのですか。

 お客様の困り事に対してソリューションを提案するため、2019年1月に「現場プロセス本部」を設置しました。350人体制で、20案件ほど進めています。

 現場プロセス本部と同時に、お客様との共創の場である「カスタマーエクスペリエンスセンター(CXC)」を作りました。CXCは「悩みはあるが、何をパナソニックに依頼していいのか分からない」という状況のお客様に来ていただくための施設です。お客様と当社が一緒になって解決策を考える環境を用意しました。

 製品とサービスを一体化してソリューションとして販売するわけですが、今後出す製品はこれまでとは違うものにしていこうと考えています。ハード製品をアップデータブル(更新可能)なものにしていきたいのです。答えが分からないところから、お客様と一緒に解決策を共創するわけですから、始めから最適な製品を提供できるとは限りません。使っていくうちに本当に求めているものが分かってくることもあるでしょう。そうしたケースに柔軟に対応したいのです。

アジャイル開発をハードの開発に取り入れる

 そのためには、アルファ版やベータ版といった試作の段階からお客様に使っていただき、徐々に修正していきたいと思っています。ソフトウエア業界では段階的に改善していくアジャイル開発は当たり前になっています。その考えをハードの開発にも早く取り入れたい。

 当社には昔から「不完全な製品をお客様に出すなどとんでもないことだ」という企業文化がありました。しかし今後はベータ版からお客様に提供し、フィードバックをもらうことを良しとする雰囲気に変えていきます。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら