アートやデザインでワクワクさせる医療・健康サービスを(page 4)

丸山亜由美氏 トリプル・リガーズ 代表

2019/03/01 06:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

これまでの取り組みは、糖尿病をテーマにしているのですね。

 もともとヘルスケアにアートやデザインを生かしたいと思ってはいたものの、具体的なテーマについてはしばらく悩んでいました。そんな時、“起業家の卵”を対象にしたゼミに参加し、原体験からビジネスを作ることを学びました。

 20歳で発症した糖尿病は自分の原体験そのものでしたが、一生向き合っていく病気を対象にするのは覚悟が必要でした。糖尿病をテーマにする気持ちが固まるまでには少し時間がかかりましたが、今では精力的に活動しています。

 先日は東京都内の小学校で食事と血糖値に関する授業をしました。授業中、子ども達から「丸山さんって病気なのに、なんでそんなに笑顔なんですか?」と質問されました。子どもだから思いつく、ピュアな質問ですよね。

 その場でも答えたのですが、医療の進歩に伴って、私たちは自分に合った治療や食事を選ぶことができます。たとえ病気を抱えていても、工夫すれば何の問題もなく日常生活を送ることもできるわけです。だから私も笑顔でいられます。

 こうした自分の体験も踏まえた啓発活動も今後ますます実施したいと思っています。

ヘルスケアサービスは、アートやデザインのどういう要素を取り入れたら良いと考えていますか。

(写真:加藤康)
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 医療や健康、福祉関係のサービスは、楽しんだり遊び心を取り入れたりすることをタブーとするような雰囲気があるように感じます。ヘルスケア領域は「堅くてファッション性がない」と言って、避けて通るデザイナーも多くいます。通っていた美大のクラスでも、ヘルスケアのデザインがしたいと言っていたのは私ぐらいでした。

 でも、健康になろうと思ったり病気を治すために病院に行ったりすることって、とってもポジティブな行為だと思うのです。「ちょっと悪いところはあるけれど、少しでも良くなるように…」と頑張っている人の気持ちを前向きに応援できるようなエッセンスがアートやデザインを通じて取り入れられたら良いなと思っています。

 「医療はこうあるべきだ」「病院はこうあるべきだ」という風に体系化されている枠組みを、私の作品を通じて「こうあっても良いんだ」と伝えたい。例えば、渋谷のパーティーで血糖値測定をしても良いし、その測定値をカラフルな用紙に書いて見せあっても良いわけです。

 ただし、自分自身も患者の一人なので、ただ単に面白おかしくすることには抵抗があります。アートやデザインなどのエンターテインメントの良さは取り入れつつ、病気と向き合う人を傷つけることのないように留意しています。

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