アートやデザインでワクワクさせる医療・健康サービスを(page 3)

丸山亜由美氏 トリプル・リガーズ 代表

2019/03/01 06:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス

これまでの取り組みを教えてください。

 今までに手掛けた作品で最も反響が大きかったのが、「DESIGNART TOKYO 2018」(2018年10月19~28日、東京都内)に出展した木製の立体オブジェです。表面にさまざまな食べ物の名前が書いてあり、ブラックライトを当てると血糖値が上がりやすい食べ物が光る仕組みです。

「DESIGNART TOKYO 2018」に出展した木製の立体オブジェ(写真:小野瑞希)
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ブラックライトを当てると血糖値が上がりやすい食べ物が光る(写真:小野瑞希)
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 アートのイベントなので、美しさを追求することはもちろんですが、作品を通じて人々の意識や行動が少しでも健康的に変容できるよう教育的要素を取り入れました。ブラックライトを当てると、血糖値を上げやすい食べ物が一目で分かります。

 これまでの糖尿病関連のアート作品は、啓発の要素が強いものが多かった。例えば、糖尿病は進行すると足が壊死(えし)してしまうことを表現した作品では、壊死した足があめやチョコレートに変わる様子が描かれていたりします。そうした中、今回展示したオブジェは、「こういう表現の方法があるのか」と大きな反響をいただきました。

 私も糖尿病の治療をしているので、これ以上糖尿病で苦しむ人が増えないようにという思いから、渋谷にある商業施設のオープニングパーティーで日曜日の昼間から健康診断をする取り組みも実施しました。イベントの場所柄、他のブースではおしゃれな食事が提供される中、私たちは血糖値が測れるブースを設置したのです。

 ただし、普通の検査とは趣向を変えて、健康診断をオープン化しようと考えました。一般的な健康診断は、一人で受けに行って一人で結果を見るというクローズドなものです。しかし、オープニングパーティーは恋人や友人などと一緒に訪れることが多いため、これを利用しようと考えました。

 具体的には、血糖値を測定してもらい、その結果を測定前に食べたものと一緒に記録してもらいました。例えば、「ラーメン 140mg/dL」という具合です。一人ひとりの記録は一つのボードに貼り付け、自分と同じ値の人が何を食べているかや、血糖値が高い人が何を食べたのかが一目で分かるようにしました。記録用紙はピンクや緑など明るい色を使ったポップなデザインにしたので、記録が集まるほどボードも華やかになります。

イベントで作成したボード。血糖値ごとに区域が分けられており、自分が食べたものを記入した紙を貼付していく(写真:小財美香子)
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 そして、血糖値の測定方法にも工夫を施しました。健康診断では、尿に含まれる糖分を測定することで糖尿病を発見するのが一般的ですが、尿から糖分が検出されるのは、かなり進行している段階です。健康診断では何も問題なかったのに糖尿病が見つかったという人が多いのはそのためです。

 そこで私たちは、食後に血液を使って血糖値を測定する検査を企画しました。“かなり進行している人”ではなく、“少し危険な人”を的確に見つけるために、食後の血糖値が糖尿病の基準とされている140mg/dLに達しているかどうかを調べることにしたのです。イベントでは約100人に検査をしてもらい、そのうち10人が食後の血糖値が140mg/dLを超えていることが発覚しました。

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