医療や健康サービスを健康への関心が高くない人に届けることは難しい(関連記事:ヘルスケアサービスがうまくいかないワケ)。そこで、「幸福度」という新しい指標を使ったり「行動経済学」の考えを応用したり、「ゲーミフィケーション」を取り入れたりと、各社が趣向を凝らした取り組みを進めている。

 そんな中、アートやデザインを使ってワクワクするような医療・健康サービスを届けようとしているのが、トリプル・リガーズ 代表の丸山亜由美氏だ。同氏のアイデアは、2019年1月に経済産業省が開催した「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2019」のアイデアコンテスト部門で優秀賞を受賞した。

 実は同氏は、臨床検査技師の資格を持ち、製薬会社でトップセールスになった後、美術大学で芸術を学んだという経歴を持つ。ヘルスケアサービスにアートやデザインはどう寄与するのか、聞いた。

トリプル・リガーズ 代表の丸山亜由美氏(写真:加藤康)
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(聞き手は伊藤瑳恵=日経デジタルヘルス)

アートやデザインをヘルスケアに生かそうと思ったきっかけは何ですか。

 大学卒業後に検査機器を販売する仕事をしていたときのことです。入社2年目でトップセールスになれたのですが、その時に最も売れた製品が、分析中に7色に光る遺伝子検査機器でした。

 研究室で使うと部屋全体がプラネタリウムのように光るのです。他の製品は、競合製品と価格やスペックを比較しながら宣伝していたのですが、この遺伝子検査機器に限っては、一度使ってもらうだけで「楽しいから欲しい」と言っていただけました。

 きっと、こうしたデザイン性が新しい価値になっていくんだろう――。そう強く感じ、アートやデザインをヘルスケアに生かそうと決心したのです。デザイン性を生かした製品を自分で作れる人になりたいと思い、3年間働いた会社を退職して武蔵野美術大学に入学しました。