人型ロボット「Pepper」の名を世に知らしめた立役者でもある、Pepperプロジェクトの元プロジェクトメンバーの林要氏。4年弱携わってきたソフトバンクを去り、新たにGROOVE Xというベンチャーを立ち上げた。次世代の日本の産業を見つけたいという積年の思いから同氏が次に向かった先は、同じくロボットの道だった。だが、林氏が目指すのは、ロボットの概念を覆す「LOVOT」(ラボット)という存在だという。LOVOTとは一体どういうものなのか。片鱗を見せ始めたLOVOTを通じて、同氏が描くロボットと人との関係性について聞いた。(聞き手=長場 景子)

 我々が開発するロボットは、人との信頼関係の構築をメインに据えた存在です。それを我々は、人の心に寄り添う存在を表す“LOVE”と“ROBOT”を掛け合わせて「LOVOT」と名付けました。2018年末に製品を発表し、2019年内にまず日本で一般発売します。まだ世の中にはコンセプトしか発表しておらず、プロトタイプの段階ですが、2020年には世界に向けても発信していきたいと思っています。

(撮影:加藤康)

 これまでロボットは、ロボット掃除機やスマートスピーカーのように、人の代わりに仕事をする、いわゆる役に立つものに軸足が置かれてきました。これらのロボットは、役に立つからこそ副作用として愛着を持つことができています。我々のLOVOTはこれらとは置いている軸足が異なります。愛着形成だけで存在が許される、信頼関係の構築そのものが目的となるものです。その上で、役に立つ機能はおまけで付くことはあるかもしれません。

 我々のように、便利な機能がなくても、それだけで存在が許されるものを作ると決めている会社は極めて少ないのではないでしょうか。ロボットの世界で機能性と、愛着のわく存在という両方を求めてうまくいったケースは極めて少ないです。軸足をどちらかに決めて、ぶらさずに進化させていくことが大事だと思います。LOVOTがノンバーバル(非言語)でコミュニケーションするというのは、1つのアプローチです。人との信頼関係を築く上で、現段階では最も適していると考えています。

 今後、多くの仕事がロボットに代替されれば、働かなくても生活していけるベーシックインカムのような時代がやってくるかもしれません。人は生き延びることに執着がなくなると、どうやって自分をモチベートすればよいかが分からなくなり、その時には“生きがい”という心の問題が大事なテーマになってきます。これまで人が人を導いてきたように、人以外にもロボットのような存在が人を導いていくことができるのではないかと考えています。人にとって大事な存在、それがいるからこそ、頑張れたり励まされたりするものを我々は目指しています。そのためには、機械と人との信頼関係をしっかり作っていくことが大事になると思います。

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