メルカリは2018年2月13日、同社が提供予定のシェアサイクルサービスの概要を発表した。2月27日に福岡市でサービスを開始する予定だ。NTTドコモやソフトバンクの系列会社が先行している事業で、中国を中心とした海外勢の参入も目立つ。メルカリの知名度と既存のユーザー基盤でどこまで先行企業に追いつけるかは未知数だ。

 一方、メルカリは昨年シェアサイクル事業への参入発表と時を同じくして、1つの出資案件を発表した。スマートロックを開発する新興企業tsumugへの出資だ。tsumugはスマートロック「TiNK」を開発する新興企業。今年のCES2018では「TiNK」を使って独自サービスを作れる開発者向けキットを発表するなど精力的に商品開発を進めている。

 メルカリは、メルチャリで利用する自転車にtsumugと共同開発したスマートロックを搭載した。だが、メルカリが自転車の鍵を開発するためだけにtsumugに出資をしたと考えるのは早計だ。当然、視野に入れるのは「宅内配送」だろう。スマートロックを介し、配達員に自宅内に入ってもらい、荷物を置いてもらうサービスだ。既に米アマゾン・ドット・コムも「AmazonKey」でサービスを開始している。

 メルチャリ事業とそこから派生する「スマートロック構想」について、メルカリで新規事業などを担当する濱田優貴取締役、新規事業担当/マネージャーの井上雅意氏、tsumugの牧田恵里社長に話を聞いた。

(聞き手は染原 睦美=日経 xTECH/日経コンピュータ)


写真左からメルカリの濱田優貴取締役、tsumugの牧田恵里社長、メルカリの新規事業担当/マネージャーの井上雅意氏
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tsumugへ出資を決めた経緯は。

濱田:元々2年半ほど前にtsumugの話は聞いていた。当時は既に他社のスマートロックが発売されており、個人的にも購入していたが、tsumugが考える構想が一番自分でも欲しいと思え、メルカリともシナジーがあると感じた。どちらかというと鍵を売っている会社ではなく、ソフトウエアを売っている会社というのも他社との違いを感じた点だ。

牧田:当時市場に登場し始めていたスマートロックは、「スマートな鍵」ではなく「スマートフォンで操作できる鍵」という打ち出し方だった。スマートフォンで開けられることが大きく注目されていた。一方、私は、文字通り「スマート」な鍵、つまりそれ自体が通信することでより利便性が向上する「(ネットに)繋がる」鍵を考えていた。

 元々私には苦い経験があった。過去に合い鍵を作って自宅に不法侵入された経験だ。TiNKはLTEを搭載することでそれ自身が通信をするため、自宅に入る際にパスワードを間違ったといった細かい情報まで遠隔から取得できる。加速度センサーも搭載しているので、無理に開けようとするとその情報もすぐに分かる。カメラと連動して、「この日時で15分間だけ撮影」といったことも可能で、セキュリティ向上にもつながる。スマホがなくても、SuicaやPINコードを使って入室できるデバイスも最初から用意した。

メルチャリ向けに開発した鍵は、他社のシェアサイクルで採用している鍵と差異はあるか。

牧田:基本的な作りはあまり変わらない。TinKはカスタマイズが多様にできるのが特徴。例えば、速度を測るセンサーをつけ、天気情報と合わせて適切な速度を提案したり、自転車の傾きを検知してヘルスケアにつなげたりといったこともできるだろう。開発者側が自由にアイデアをスマートロックに追加してもらえるのが特徴だ。

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