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 インタビュー前編では、2018年に大きな話題となったVTuber(バーチャルYouTuber)が2019年にどのような存在になっていくのか、SHOWROOMのCTO(最高技術責任者)である佐々木康伸氏に大胆予測をしてもらった。後編では、同社がなぜVR事業に取り組むのか、発表時に反響を呼んだVTuber配信アプリやVR事業の今後と、VR/AR業界の展望について語ってもらった(聞き手は東 将大=日経 xTECH)


SHOWROOM CTOの佐々木康伸氏
ITベンダー企業を経て2008年にモンスター・ラボに入社し、同社の音楽配信サービスやソーシャルアプリを開発。2010年、DeNAに入社。「Mobage」(モバゲー)の開発・運用や、音楽アプリ「Groovy」の開発に携わる。2013年にSHOWROOM代表取締役社長の前田裕二氏と配信サービス「SHOWROOM」を立ち上げ、2015年にDeNAから分社化。2018年からバーチャル事業を本格的に進める。(撮影:日経 xTECH)
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VR(Virtual Reality)事業は、いつ頃から取り組んでいたのか。

 SHOWROOMがサービスを開始した翌年(2014年)には既に取り組んでいて、少しずつ投資していた。2016年には「SHOWROOM VR」を提供。360度映像のライブ配信とスマートフォン(スマホ)向けHMD(ヘッドマウントディスプレー)による視聴に対応した。2017年には4K画質の両眼立体視可能なVR映像のライブ配信に対応した。

ライブ配信サービスのSHOWROOMが、なぜVRなのか。

 次に求められるであろう新たな表現方法を探していたからだ。現在のライブ配信サービスは、表現の限界に到達していると思う。最近のアプリやコンテンツでは、初めてスマホに触れたときのようなインパクトがどうしても薄れてきた。現状でもユーザーが困ることはないが、そこで満足しないのが人間の本質である。そこで出合ったのがVRだった。2013年春に登場した米オキュラスVR(Oculus VR)の開発者向けVR用HMD「Oculus Rift DK1」を体験して斬新さと面白さを感じ、これだと思った。

SHOWROOMにとってVR事業は重要な柱になるのか。

 もちろん重要な柱の1つだが、VRだけに尖ることはない。これまで約5年間、サーバーサイドやインフラなど、配信サービスを運用してきたノウハウをVRと組み合わせていけるのが強みになる。今後は配信サービスとVRの両方を伸ばしていくつもりだ。

そうすると、今後の技術戦略はどうなるのか。

 VR事業に関して言えば、世にある要素技術を使ってサービスを作り、ユーザーに届けることに注力していく。特にVTuber(バーチャルYouTuber)では、既にそろいつつある要素技術をどのように社会実装するかが、私たちのやるべきことだ。ただ、専門外の技術分野では、それを専門にしている企業と協業して開発を進めていく。例えば、ローソンとはバーチャル店員の共同研究をしている(関連記事)。このように、VTuberの活動として主流になっているバーチャルタレントだけではなく、VTuberの技術を使った表現の幅を広げて、新しい機会の場を提供するのが大きなミッションだ。その観点から、なるべく専門的なエンジニアを採用するようにしてきた。