AI人材の争奪戦は日本国内にとどまらず世界中で激しくなっている。日本企業はどう対応すればいいのか。ヒントになるのは、意外にも大企業よりもはるかに「貧乏」なベンチャーの取り組みだ。欧米企業にも負けないという人材獲得の奥義を公開しよう。

 日本国内のAIベンチャーの多くは「給与水準で海外と競うつもりはない」(クロスコンパスの佐藤聡社長)と割り切る。にも関わらず、必要な人材の確保には支障は無いという。

優れたAI人材にアクセスする4つのアプローチ
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東京に惹かれる外国人を取り込む

 国内ベンチャーが人材の供給源として頼るのが外国人だ。手書き文字認識などの技術を持つCogent Labsは十数人の技術者の大半は外国人。法人向けAI事業を展開するABEJAも、数十人の社員の6分の1ほどが外国人だ。国籍は欧米からアジア、オセアニアまで幅広い。

 AIの領域で人材供給のエコシステムが確立している都市としてはサンフランシスコ(シリコンバレー)が最も評価が高く、ロンドン大学や英グーグル・ディープマインドが存在するロンドンが続く。東京はエコシステムでこれらに見劣りするものの「暮らしやすさや安全性に惹かれるAI人材は一定数存在する」(世界28カ国で人材紹介を手掛ける英ロバート・ウォルターズの日本法人)。こうした技術者に「自社の目標や企業文化、仕事を魅力的に伝えられれば、必要な人材は十分に確保できる」(ABEJA)。

 国際会議での人脈作りはトップ級の海外AI人材に接触できる貴重な手段。毎年7月開催の「機械学習国際会議(ICML)」や同12月開催の「ニューラル情報処理システム会議(NIPS)」などに参加し、人脈作りに時間を費やす。

 深層学習の技術開発を手がけるスタートアップ企業のLeapMindも、研究の成果を論文や学会発表などの形で海外に発信することで、AI人材を呼び寄せている。LeapMindが抱える数十人の社員のうち、約3分の1は外国人エンジニアだ。

 同社の強みは、学習済みデータの容量を数百分の1に縮小し、FPGA(回路の再構成が可能な半導体チップ)に書き込む技術だ。物体認識などの推論処理を省電力で実行できる。「我々のようなアプローチで深層学習を研究する企業はまだ世界でも珍しく、論文や学会発表などの情報を基に優秀なエンジニアが応募してくれる」と松田総一CEOは説明する。

 仕事の魅力を具体的に発信することも優秀な人材獲得につながるという。「人工意識」と呼ぶ、汎用AIにつながる新技術を研究するアラヤは、社員が学会で発表した論文を、論文掲載サイトやTwitterなどソーシャルメディアで広める活動に取り組んでいる。単に「深層学習をやっている」では自社の魅力は伝わらない。論文での先進的な研究や議論を公開してこそ、「変わった会社がある」と優秀な学生や技術者がコンタクトしてくるという。

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